jfUNUレクチャー・シリーズ 国際社会における法の支配と市民生活 ヒギンズ国際司法裁判所所長の講演とパネルディスカッション

横田洋三訳・編

東京の国際連合大学でおこなわれたシンポジウム「より良い世界に向かって―国際社会と法の支配」の記録である。本書は国際法、国際司法裁判所が市民の日常生活に深いかかわりがあることを知る機会を提供する。 (2008.4)

定価 (本体1,400円+税)

ISBN978-4-87791-182-9 C1032

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目次

著者紹介

ロザリン・ヒギンズ
President Rosalyn Higgins
ロザリン・ヒギンズ所長は、1995年以降、国際司法裁判所判事を務めており、2006年2月に所長に就任。英国王立国際問題研究所研究員、ケント大学、ロンドン大学教授等を歴任。 英帝国女性二等勲爵士。
President Rosalyn Higgins has been a member of the ICJ since 1995, and was elected as President of the Court in February 2006. Her previous experience includes serving as staff specialist in international law, Royal Institute of International Affairs [UK], and Professor of International Law of University of Kent at Canterbury and University of London. Dame Commander of the British Empire.
横田 洋三
Yozo Yokota
国連大学学長特別顧問、中央大学法科大学院教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、法学博士。1992年から95年まで、国連人権委員会ミャンマー担当特別報告者を務める。また、2000年より国連人権促進保護小委員会代理委員。専門は国際公法、国際人権法。
Yozo Yokota is a Special Adviser to the Rector of United Nations University. He is a Professor of Chuo University Law School, Tokyo. He gained his Doctorate in Law from the Graduate School of Law and Politics of the University of Tokyo in 1969. He acted as the UN Special Rapporteur on the Situation of Human Rights in Myanmar from 1992 to 1995 and was a member of the UN Sub-Commission on the Promotion and Protection of human Rights. His research interests include public international law and international human rights law.
伊奈 久喜
Hisayoshi Ina
日本経済新聞社論説副委員長。東京本社政治部で、首相官邸、自民党、外務省、防衛省、野党などの担当を経て、ワシントン支局記者として四年間、ホワイトハウス、国務省、国防総省などを担当する。その後、米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題大学院外交政策研究所研究員、米ヘンリー・スティムソン・センター研究員等を歴任。
Hisayoshi Ina is a columnist and the vice chair of the editorial board of the Nihon Keizai Shimbun (The Nikkei Newspapers) in Tokyo. As diplomatic and security writer, he writes columns and editorials. His journalistic career includes four years in the Nikkei's Washington D.C. bureau as chief political correspondent and, subsequently, fellow at the Paul H. Nitze School of Advanced International Studies (SAIS) Foreign Policy Institute. He also worked for the Henry L. Stimson Center in Washington D.C. where he researched confidence-building measures as a fellow.
小和田 恆
Hisashi Owada
2003年より国際司法裁判所判事。元外務事務次官。1995年東京大学卒業後、外務省に入省。内閣総理大臣秘書官、外務省条約局長、国連大使、日本国際問題研究所理事長などを歴任する。現在、常設仲裁裁判所裁判官も務める。
Hisashi Owada is judge of the International Court of Justice since 2003. After graduating from the University of Tokyo, he entered the Ministry of Foreign Affairs of Japan in 1955, and served in various posts, such as Executive Assistant to the Prime Minister, Director-General of Treaties Bureau, Ambassador to the United Nations, and President of the Japan Institute of International Affairs. Currently he also serves as a Member of the Permanent Court of Arbitration.
ミッシェル・ブランシェール=トマシーニ
Michele Pranchere-Tomassini
2002年よりルクセンブルグ駐日大使。大学で哲学を専攻後、1985年ルクセンブルグ外務省に入省。1998年ジュネーブに派遣され、国連及びWTOの常駐代表を務める。
Michle Pranchre-Tomassini has been Ambassador of Luxembourg to Japan since 2002 with co-accreditation to the Republic of Korea since 2003. She studied philosophy, and joined the Luxembourg Foreign Service in 1985. She had previously served as Permanent Representative to the United Nations and WTO.
ディピカ・ウダガマ
Deepika Udagama
スリランカ・コロンボ大学法学部長、教授。1998年より国連人権促進保護小委員会代表代理を務め、2000年には同小委グローバル化と人権への影響特別報告者に任命される。1997年にハーバード・ロースクールのシニア・フルブライト奨学生となる。カリフォルニア大学バークレー校より、法学博士の学位を授与される。
Deepika Udagama is Head of the Faculty of Law at the University of Colombo. She has served as Alternate Member from Sri Lanka on the United Nations Sub-Commissions co-Special Rapporteur on Globalization and Its Impact on Human Rights. In 1997, Dr. Udagama was awarded a Senior Fulbright Scholarship tenable at the Harvard Law School. She holds a Doctor of Juridical Science degree from the University of California at Berkeley.

まえがき

訳・編者はしがき

本書は、2007年4月11日に東京の国際連合大学で行われた「より良い世界に向かって~国際社会と法の支配~」という表題の講演会およびパネルディスカッションの記録である。

本書はこの催し物の構成に従い、「開会」、「第一部・講演」、「第二部・パネルディスカッション」、の三つの部分から成っている。

開会は、講演に先立つハンス・ファン・ヒンケル国連大学学長および小松一郎外務省国際法局長の開会の辞から成り、二人の話をテープから起こして収録した。

第一部・講演は、ロザリン・ヒギンズ国際司法裁判所所長による「国際司法裁判所(ICJ)と法の支配」 ("The International Court of Justice and the Rule of Law") と題する、講演のために用意された英文のペーパーを訳・編者が日本語に訳した。第二部・パネルディスカッションは、訳・編者が司会をした4人のパネリストによる「国際社会における法の支配と市民生活」と題するパネルディスカッションの記録で、日本語の発言はそのままテープから起こしたもの、英語の発言は同時通訳の日本語からテープ起こししたものである。

テープ起こしの部分は、話し言葉であるため、また、同時通訳を介しての日本語であるため、そのままでは理解できない部分があったので、司会を務め議論の中身をある程度把握している訳・編者の責任で若干手を加え編集した。本来だと各発言者に最終原稿をチェックしてもらう必要があるが、英語の発言者については日本語訳のチェックをしてもらうことがそもそも不可能であり、また議論の流れを考えると、発言者ごとにチェックした場合前後の関係が途切れるおそれもあるため、あえて訳・編者の文責で編集させていただいた。一冊の書物にするためにこのような方式をとったことについて、発言者の方々のご理解とご寛容をお願いしたい。

この講演会とパネルディスカッションは、外務省、国際連合大学、(財)国連大学協力会の三者が主催し、日本経済新聞社が共催し、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会の三者の後援、および日本司法書士会連合会、(社)商事法務研究会、(財)国際民商事法センター、(財)安達峰一郎記念財団の四者の協賛を得て実現したものである。ご協力に対して関係各位に深く感謝申し上げる。

この催しは、とかく専門化しがちな国際法、法の支配、国際司法裁判所といったテーマが、グローバル化が急速に進展する今日の世界において、市民生活にも大いに関係するようになってきたことを踏まえて、一般の人にも関心を持ってもらい、理解を深めてもらうことを目指して企画された。当日の参加者は講演とパネルディスカッションを通して、国際法や国際司法裁判所が身近に感じられたのではないかと想像するが、さらに本書を通して、読者にも国際法や国際司法裁判所が市民の日常生活に深い関わりがあるということを理解し、関心を持っていただければ、まことに幸いである。

なお、本書の出版に当っては、(財)国連大学協力会の森茜事務局長、および(株)国際書院の石井彰社長に大変ご尽力いただいた。心より感謝申し上げる。

2008年2月20日

訳・編者 横田洋三

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