現代国際関係論

黒川修司 著

事例研究の記述を通して理論的思考ができるようにし、国際関係政治学の基礎的な概念、理論、歴史的な事実を把握できるようにした。多様なテーマは物語りのように叙述され親しみやすい書になっている。大学の講義用に構成されている。

定価 (本体2,800円 + 税)

ISBN978-4-87791-196-6 C1031 313頁

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目次

著者紹介

黒川修司 (くろかわ・しゅうじ)

1949年10月横浜市に生まれる。1973年、横浜市立大学文理学部卒業、1975年、一橋大学大学院法学研究科修士課程卒業(法学修士)1978年、一橋大学大学院法学研究科博士課程単位修得、一橋大学法学部助手、東洋大学経済学部専任講師、助教授を経て、1990–91年にはミシガン大学政治学部客員研究員。1993年より横浜市立大学文理学部教授、95年より改組した国際文化学部国際関係学科教授、学部長を経て、2004年より東京女子大現代文化学部教授、2009年より改組した現代教養学部教授。

主要著作

『日本の防衛費を考える』(ダイヤモンド社、1983年)、『赤狩り時代の米国大学』(中公新書、1994年)、『ハイテク覇権の攻防 日米技術紛争』(東信堂、2001年)

共著として、細谷千博・臼井久和編、『国際政治の世界』(有信堂、1981年)、白鳥令編『現代政治学の理論』上、(早稲田大学出版会、1981年)、中河原徳仁・黒柳米司編『現代の国際紛争』(人間の科学社、1982年)、日本平和学会編『平和への数量的方法』(早稲田大学出版会、1984年)、白鳥令・曽根泰教編『現代世界の民主主義理論』(新評論、1984年)、細谷千博・丸山直起編『国際政治ハンドブック 解説と資料』(有信堂、1984年)、中野実編『日本型政策決定の変容』(東洋経済新報社、1986年)、細谷千博・臼井久和編『国際政治の世界:新版』(有信堂、1993年)、山極晃編『東アジアと冷戦』(三嶺書房、1994年)、細谷千博・横山宏章編『国際政治の21世紀像』(有信堂、1996年)、滝田賢治・大芝亮編『国際政治経済資料』(有信堂、1999年)、Gary K. Bertsch, Richard T.Cupittand Takehiko Yamamoto, eds., U.S. and Japanese Nonproliferation Export Control, University Press of America, 1996. 中野実編『リージョナリズムの国際政治経済学』(学陽書房、2001年)、進藤栄一・平川均編『東アジア共同体を設計する』(日本経済評論社、2006年)、滝田賢治・大芝亮編『国際政治経済』(有信堂、2008年)。

まえがき

はじめに

この教科書は他の本とは違う特徴が幾つかあります。第一は大学の講義に使うことを目的として、前期15回、後期15回の30回の90分の講義内容を載せています。1回でテーマが完結するように作りました。学生諸君はしっかりと予習をして、疑問点、質問を作って講義に出席して下さい。前期15回分はウェストファリア体制と国民国家の形成からナショナリズム、第1次世界大戦、パリ講和会議、国際連盟、ファシズム、冷戦の開始という世界史的な展開をじっくり眺め、デタント、1979年のソ連のアフガニスタン侵攻とそれに対抗した米国の部分的穀物制裁で終わっています。ここまでで、国際関係や政治学の基礎的な概念、理論、歴史的な事実をしっかり学んで欲しい。高校時代に世界史を履修しなかった人も基礎的な学習になるはずです。参考文献に掲げた本のうち新書類は事前に読んでおくと理解が深まります。後期は冷戦の崩壊過程を詳しく見てから、現代の複雑な国際関係の色々なテーマを学びます。国際法の発展を踏まえて、基本的にはアナーキーな国際政治の世界でも、ある程度は法秩序の形成が可能であるとの立場を取っています。国際裁判の制度化が進んでいることに留意しながら、ICJ(国際司法裁判所)、大量破壊兵器の規制レジーム、対人地雷の全廃条約の成立、ICC(国際刑事裁判所)を国連やNGOの活躍を中心として分析しました。その他、湾岸戦争、旧ユーゴスラヴィアの内戦、人道的介入、国連のPKO活動、難民とUNHCRなど紛争と秩序形成の努力などにも触れました。

第2に事例研究から入って、理論的思考も出来るように考えました。細かい事実の羅列だと反発しないで下さい。歴史は細部が面白いのです。多様なテーマを採り上げて、政治的な対立をどうやってコントロールしていけばよいか考えて見ました。

第3に網羅的な教科書にすることは止めて、メリハリの利いた分析を心がけました。他の本では数行しか書かれていないテーマも数頁にわたって掘り下げています。

第4に人名、地名をできるだけ、その国の言語あるいは英語の表記を付けました。今後さらに勉強を進める上で手助けになるはずです。五月蠅くてかなわないと思う人は無視してください。

第5に本来ならば学生諸君が自ら探さなくてはならない資料を原文で挿入しておきました。国連決議、外交文書、政治家の演説などを載せました。非常に便利だと思うのですが、反面本としては読みにくくなりました。

第6に画像を重視した講義を心がけているので、その役に立つ資料、地図、写真を入れました。インターネットからおとしたものがあります。講義で見せるTVのタイトルも出来るだけ参考文献に入れました。折角発達してきたインターネットを駆使しないと勿体無いと思います。URLを載せておきましたので、是非、活用してください。

第7に、アジア諸国や発展途上国が主役として登場しません。これは歴史の展開上、仕方がないことでもありますが、アジア、アフリカ、ラテンアメリカに関心がある方は別の本をお探し下さい。

第8に、賠償金、戦争費用、PKO費用、裁判費用などを除くと、経済問題はほとんど触れませんでした。国際政治を中心とした分析にして書いたのですが、量的にも可なりのものになったので、経済は敢えて割愛しました。現在、国際政治経済をも担当しており、その分野では『ハイテク覇権の攻防』東信堂、2001年を出版しています。

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