『新民法のはなし』山川一陽 / 国際書院

はじめに
初めて民法を勉強しようとする方へ
第I編民法とはどのような法律なのか
- 第1章民法とはどのような法律なのか
  - 1 民法典はどのような構成となっているのか
  - 2 民法というのは何を見ればわかるのか
  - 3 民法と刑法との関係はどうか
  - 4 民法と商法の関係はどうか
  - 5 民法と訴訟法との関係はどうか
- 第2章民法の基本原理とは何か ――財産法と身分法
  - 所有権の絶対性と権利の濫用について
- 第3章民法上の権利の主体となる者 ――権利を持つ者、義務を負担する者
  - 1 権利能力と行為能力
    - (1) 権利能力を有する者その1 ――自然人
    - (2) 胎児の権利能力
    - (3) 失踪宣告
    - (4) 同時死亡の推定
  - 2 権利能力を有する者その2 ――法人
    - (1) 公法人と私法人
    - (2) 社団法人と財団法人
    - (3) 法人の登記
    - (4) 一般法人と公益法人
    - (5) 法人の機関
    - (6) 法人の権利能力
    - (7) 法人の行為能力と不法行為能力
    - (8) 法人の消滅
  - 3 行為能力と制限行為能力者制度
    - 制限能力者制度
  - 4 制限行為能力者の相手方の保護
第II編物の得喪
- 第1章民法上の権利の客体
  - 動産と不動産(特定物・不特定物、主物・従物、元物・果実)
- 第2章売買と目的物の所有権の移転
- 第3章不動産取引と登記 ――登記の仕組み
  - 1 不動産取引における登記の機能
  - 2 登記制度概説
    - (1) 登記簿の構造
    - (2) 登記手続と権利証
    - (3) 仮登記
- 第4章動産取引と占有 ――即時取得制度
  - 1 動産と取引 ――不動産の場合と比較して
  - 2 引き渡しの方法
  - 3 即時取得制度
  - 4 盗品と遺失物の例外
- 第5章時効制度
  - 1 取得時効制度
  - 2 消滅時効制度
  - 3 時効の遡及効と時効の援用など
  - 4 時効の中断など
第III編契約
- 第1章契約とは何か
  - 1 契約自由の原則
  - 2 契約の分類はどのようにされているか
- 第2章契約の成立
  - 1 代理人による契約
  - 2 表見代理制度
  - 3 狭義の無権代理
- 第3章契約の効力
  - 1 契約と公序良俗
  - 2 通謀虚偽表示と錯誤
    - (1) 単独虚偽表示 (心裡留保)
    - (2) 通謀虚偽表示
    - (3) 錯誤
  - 3 詐欺による意思表示と強迫による意思表示
    - (1) 詐欺による契約
    - (2) 強迫による契約
- 第4章契約の解除
  - 1 その意義と要件
  - 2 契約解除の効果
  - 3 契約解除と第三者
- 第5章不動産の賃貸借
  - 1 賃貸借の期間
    - (1) 借地権の期間
    - (2) 借地権と更新
    - (3) 新しい類型の借地権
    - (4) 借家権の場合
    - (5) 新しい類型の借家権
  - 2 その他の問題点
  - 3 敷金
  - 4 権利金
第IV編損害賠償制度について
- 第1章債務不履行による損害賠償
  - 1 履行遅滞
  - 2 履行不能
  - 3 不完全履行
  - 4 債務者の責に帰すべき事由
  - 5 過失とは何か
  - 6 損害とは何か
  - 7 損害賠償をすべき範囲はどうなるか
  - 8 損害賠償の方法
  - 9 損害賠償の範囲についての例外
    - (1) 損害賠償額の予定
    - (2) 過失相殺・損益相殺
    - (3) 金銭債務の例外
- 第2章不法行為による損害賠償制度
  - 1 不法行為の成立要件
    - (1) 権利侵害 ――違法性

違法性阻却事由

損害の発生

故意・過失

2 過失責任と無過失責任
3 責任能力
4 損害賠償請求権者
5 損害賠償請求権の時効
6 特殊の不法行為
- (1) 責任無能力者を監督する者の責任
- (2) 使用者責任
- (3) 土地工作物の瑕疵に対する責任
- (4) 動物の占有者の責任
- (5) 共同不法行為

第V編権利の実現と救済 ――権利の実現はどのように図られるか
- 第1章現実的履行の強制
- 第2章債権者代位権と債権者取消権
  - 1 債権者代位権
  - 2 債権者取消権
- 第3章債務の履行と担保制度 ――物的担保制度と人的担保制度
  - 1 質権
  - 2 抵当権
  - 3 保証と連帯保証
  - 4 売渡担保と譲渡担保
  - 5 相殺について
    - (1) 相殺の意義
    - (2) 相殺の要件
    - (3) 相殺の効果
  - 6 身元保証制度
    - (1) 身元保証の意義
    - (2) 「身元保証ニ関スル法律」による規制
- 第4章債務の弁済 ――無権利者に対する弁済と弁済者の救済
  - 1 弁済の機能
  - 2 弁済したことの証明手段235
  - 3 受取証書の機能と債権証書の機能
  - 4 無権利者への弁済が保護を受ける場合について
    - (1) 債権の準占有者に対する弁済
    - (2) 預金者保護法の制定による準占有者に対する弁済規定の修正
    - (3) 受取証書の持参人に対する弁済
第VI編親族法・相続法
- 第1章家族法の特色
- 第2章「親族」とは何か
  - 1 家族関係と公示
    - (1) 戸籍は日本国民の証明
    - (2) 戸籍の基本構造
  - 2 戸籍と住民基本台帳
  - 3 家事事件とその処遇
  - 4 親族関係はどのような場合に発生するのか
  - 5 親族関係はどのような場合に終了するのか
  - 6 親族ということにはどのような効果があるのか
  - 7 いわゆる扶け合い義務
- 第3章婚姻
  - 1 婚姻の効果
  - 2 内縁の夫婦とはどのようなものか
  - 3 離婚制度
  - 4 離婚の種類と方法
    - (1) 協議離婚について
    - (2) 判決離婚について
    - (3) 調停離婚と審判離婚
  - 5 離婚の効果
    - (1) 身分上の効果
    - (2) 財産上の効果
- 第4章親子
  - 1 実親子関係
    - (1) 嫡出子
    - (2) 非嫡出子
  - 2 養親子関係
    - (1) 普通養子制度
    - (2) 特別養子制度
- 第5章扶養の権利・義務
  - 1 夫婦間の扶養と未成熟子の扶養
  - 2 扶養義務を負担するのはだれか
  - 3 扶養の方法とその程度
  - 4 扶養の当事者が多数いる場合にはどう処理するのか
- 第6章相続制度について
  - 1 どうして相続は起こるのか
  - 2 相続人・相続順位・相続分
  - 3 寄与分など
  - 4 相続の効果の遺産分割
  - 5 相続の放棄と承認
    - (1) 相続の放棄
    - (2) 限定承認
    - (3) 単純承認
  - 6 遺言とは、どのような制度で、どのように運営されているか
  - 7 遺言をすることができる能力
  - 8 遺言はどのような方法でするのか
  - 9 一度した遺言をとりやめることができないか
- 索引

山川一陽(やまかわ・かずひろ)

1944年埼玉県生まれ
1968年日本大学法学部卒業
東京地方検察庁検事、広島地方検察庁検事、法務省民事局付検事などを経て、
現在日本大学法学部教授

専攻

民法

主著

『仮登記担保と実務』(金融財政研究会)
『民法コンメンタール(相続2)』(ぎょうせい)
『物権法講義〔第3版〕』(日本評論社)
『民法総則講義(第4版)』(中央経済社)
『担保物権法〔第3版〕』(弘文堂)
『親族法・相続法講義(第5版)』(日本加除出版)
その他

はじめに

本書は、初めて民法を学ぶ人、あるいは民法というものがどのような法律であるのかなどを知りたいと考える人のためにやさしく話し言葉で書かれた民法全体を解説する「民法の本」である。本書においては、民法典の構造や規定の順序などに従って解説をするものではなく、むしろ民法という法律が現実にはどのような運用がされ、どのような機能を発揮しているのかというような側面に着目して書かれている。

そのような意味から、本書は、初めて民法を学ぶ人たちのための入門書といっていいであろうし、民法という法律を知りたいと希望する人たちにこの法律の基本的知識を提供するものであるといえよう。

本書はもともと「民法のはなし」という書名で出版され、版を重ねたものであるが、いわゆる成年後見制度などの民法改正やその他の関係法律の改正あるいは新たな判例等もだされていることなどから全面的な書き換えが必要とされていた。そこで、もともとの本書の原点に戻って、理解しやすい民法の本ということを意識し、全面的に書き換えてみた。従来のものと比較して全体的にもスリムになるように工夫もしてみた。

本書が従来のものと同様に多くの方々の勉強の助けとなれば幸いである。

二〇一二年三月

あ行
- 相手方 127
- 相手方選択の自由 123
- 悪意の第三者 80
- 新しい類型の借地権 160
- 遺言 302
- 遺言の撤回 308
- 遺産分割 296
- 意思主義 75,126
- 遺失物 106
- 遺志能力 302
- 一部露出説 41
- 一般定期借地権 161
- 一般法人 52
- 違法性阻却事由 189
- 違法な利益侵害 189
- 姻族関係 257
- 受取証書 235
- 受取証書の持参人に対する弁済 237
- 乙区 83
か行
- 過失 176,177,191
- 過失責任 191
- 過失相殺 185
- 家族法 243
- 家庭裁判所 253
- 仮登記 98
- 仮登記担保契約 229
- 仮登記に基づく本登記 98
- 仮登記の順位保全効 99
- 簡易の引き渡し 102
- 監事 53
- 間接強制 211
- 危機負担 124
- 危急時遺言 305
- 危険責任 193
- 期限付建物賃貸借 163
- 偽造の受取証 239
- 危難失踪 44
- 客観的表示行為 142
- 狭義の共同不法行為 204
- 狭義の無権代理 133
- 協議離婚 267
- 強行規定 137
- 教唆者 205
- 共同申請主義 84
- 共同不法行為 204
- 強迫による意思表示 145
- 強迫による契約 149
- 強迫による取り消しの効果 150
- 寄与分 295
- 近親婚 262
- 金銭債務の例外 186
- 金銭賠償主義 183
- 具体的過失 177
- 形式的審査権 85
- 契約 121,126,136
- 契約解除と第三者 155
- 契約解除の効果 155
- 契約の解除 124,152
- ゲセルシャフト 243
- 結果回避義務 177
- 結果予見義務 177
- ゲマインシャフト 243
- 原因責任 193
- 検索の抗弁権 227
- 現実的履行の強制 209
- 現実の引き渡し 102
- 原状回復主義 184
- 限定承認 300
- 現に利益が残っている限度 45
- 権利金 166
- 権利質 220
- 権利に関する登記 83
- 権利の上に眠れる者、法律はこれを保護せず 109
- 権利能力 39
- 権利能力平等の原則 40
- 権利部 83
- 故意 176,191
- 行為能力 56
- 公益認定 52
- 公益法人 52
- 甲区 83
- 後見登記等ファイル 64
- 公示方法 101
- 公信力 101
- 公正証書遺言 304
- 公法人 50
- 戸籍 248
- 戸籍の基本構造 248
- 戸籍編製の基本 249
- 婚姻 261
- 婚姻適齢 262
- 婚姻の効果 263
さ行
- 債権者代位権 214
- 債権者代位権の転用形態 216
- 債権者取消権 214,216
- 債権証書 235
- 債権の準占有者 237
- 債権の準占有者に対する弁済 237
- 催告の抗弁 227
- 再婚禁止期間 262
- 財産移転型契約 121
- 財産使用型契約 121
- 財団法人 51
- 債務者の責めに帰すべき事由 175,176
- 債務不履行 171
- 詐欺 146
- 詐欺による意思表示 145
- 詐欺による契約 146
- 詐欺の故意 147
- 錯誤 142
- 指図による占有移転 103
- 詐術 66
- 敷金 166
- 事業用借地権 161
- 時効制度の根拠 109
- 時効の援用 115
- 時効の遡及効 115
- 時効の中断 116
- 時効利益の放棄 116
- 自己のためにするのと同一の注意義務 181
- 自主占有 110
- 地震売買 164
- 自然血族関係 255
- 自然人 40
- 質権 219
- 実親子関係 274
- 実質的審査権 85
- 失踪宣告 43
- 失踪宣告の取消 45
- 私的自治の拡張の機能 129
- 自動車登録 105
- 自筆証書遺言 304
- 私法人 50
- 社員総会 53
- 借地権と更新 159
- 借地権の期間 159
- 社団法人 51
- 住民基本台帳 252
- 取得時効 108,110
- 使用者責任 200
- 譲渡担保 228
- 使用・被用 201
- 消滅時効 108
- 除籍 252
- 除斥期間 197
- 所有権 71,74
- 処理型契約 122
- 信義誠実の原則からこれと同等に評価されるもの 176
- 心神喪失中の行為 196
- 親族 245
- 親族・親等図表 247
- 人的担保 226
- 審判 254
- 審判離婚 271
- 随伴性 225
- 制限行為能力 56
- 制限行為能力者の相手方の保護 65
- 正当事由 160,161
- 成年被後見人 57,61
- 責任能力 196,199
- 責任無能力者を監督する者の責任 198
- 全部露出説 41
- 占有改定 103
- 善良なる管理者の注意義務 179
- 相殺 230
- 相殺適状 231
- 相殺の遡及効 232
- 相殺の要件 231
- 相続 292
- 相続順位 293
- 相続人 293
- 相続の承認 298
- 相続の放棄 298,299
- 相続分 293
- 双務契約 74,124,153
- 即時取得 103
- 損益相殺 186,191
- 損害 182
- 損害賠償額の予定 184
- 損害賠償請求権者 197
- 損害賠償請求権の時効 197
- 損害賠償をすべき範囲 182
た行
- 対抗要件 82
- 第三者 79,80
- 第三者の詐欺 149
- 胎児 197
- 胎児の権利能力 41
- 代替執行 211
- 題名主義 129
- 代理権限外による表見代理 133
- 代理権授与の表示による表見代理 133
- 代理権消滅後の表見代理 133
- 代理権の消滅 130
- 代理制度 129
- 代理制度の機能 128
- 代理人 127
- 扶け合い義務 260
- 建物 77
- 建物買取請求権 161
- 建物譲渡特約付借地権 161
- 建物保護法 164
- 短期消滅時効 113
- 単純承認 301
- 団体形成型契約 122
- 単独虚偽表示 139
- 担保 218
- 遅延賠償 172
- 地方法務局 72
- 嫡出子 276
- 抽象的過失 177
- 調停 254
- 調停前置主義 254
- 調停離婚 271
- 直接強制 211
- 通常生ずべき損害 183
- 通謀虚偽表示 140
- 定期行為 154
- 定期借地権 161
- 締結の自由 122
- 抵当権 221
- 填補賠償 172
- 登記原因証明情報 84
- 登記所 72
- 登記申請情報 84
- 動機の錯誤 144
- 動産 72
- 動産取引 100
- 同時死亡の推定 47
- 同時存在の原則 48
- 同時履行の抗弁権 124
- 盗品 106
- 動物の占有者の責任 203
- 特別の事情によりて生じた損害 183
- 特別養子 285
- 土地 77
- 土地工作物の瑕疵に対する責任 202
- 取壊し予定建物賃貸借 163
な行
- 内縁の夫婦 264
- 内心的効果意思 142
- 内容の錯誤 144
- 内容の自由 123
- 二重抵当 81
- 日常生活行為と制限行為能力者 65
- 任意代理 129
- 認定死亡 46
は行
- 配偶関係 257
- 背信的悪意者 81
- 売買 74
- 売買は賃貸借を破る 164
- 判決離婚 268
- 引き渡し 102
- 非占有移転担保 221
- 非嫡出子 279
- 被保佐人 57,62
- 被補助人 57,63
- 秘密証書遺言 304
- 表見代理 131
- 表示意思 142
- 表示に関する登記 83
- 表題部 83
- 夫婦間の扶養 288
- 夫婦別産制 273
- 不可分性 223
- 不完全履行 173,175
- 附従性 224
- 普通失踪 44
- 普通養子 281
- 物上代位性 223
- 物的担保制度 219
- 物的編制主義 83
- 不動産 72
- 不動産質 220
- 不動産取引 76
- 不動産の賃貸借 157
- 不法行為 171
- 不法行為能力 54
- 不法行為の成立要件 188
- 扶養 287
- 扶養の方法 289
- 弁済 235
- 片務契約 124
- 方式の自由 123
- 報償責任 193
- 幇助者 205
- 法人 49
- 法人の権利能力 54
- 法人の行為能力 54
- 法人の消滅 55
- 法定血族関係 255
- 法定代理 130
- 法務局 72
- 法律関係確定型契約 122
- 保証 225
- 保証の随伴性 226
- 保証の附従性 226
- 本人 127
ま行
- 未成熟子の扶養 288
- 未成年者 57
- みなす 49
- 身元保証 232
- 無過失責任 191
- 無権代理 131
- 無権代理行為の追認 134
- 無権代理人の責任 134
- 無償契約 124
- 物 71
や行
- 有償契約 124
- 優先弁済的な機能 221
- 有体物 71
- 養親子関係 274
- 要素の錯誤 142
- 預金者保護法 238
- 預託型契約 122
ら行
- 履行遅滞 173
- 履行不能 173,174
- 離婚制度 266
- 理事 53
- 利息付消費貸借 125
- 留置的機能 221
- 連帯保証 225
- 労務ないし事務 122