世界人権宣言の今日的意義 世界人権宣言採択70周年記念フォーラムの記録

横田洋三・大谷實・坂元茂樹 監修

世界人権宣言の法的側面からの議論を通して世界人権宣言の現代社会における意義および役割を考える。21世紀国際社会における人類の行方をみる上で個人の尊厳を今こそわたしたちが真摯に問う時だ。(2019.8.20)

定価 (本体1,200円 + 税)

ISBN978-4-87791-298-7 C3032 169頁

目次

  • はしがき
  • 主催者挨拶大谷實
  • 第1部: 世界人権宣言の法的性格(前半)
    • コーディネーターのコメント坂元茂樹
    • 発題1 ―国際法の観点から滝澤美佐子
    • コメント ―国際法の観点から薬師寺公夫
    • 発題2 ―憲法の観点から高橋和之
    • コメント ―憲法の観点から木村草太
  • 第1部: 世界人権宣言の法的性格(後半)
    • コーディネーターのコメント坂元茂樹
    • 発題3 ―実務(外交担当者)の観点から三上正裕
    • 発題4 ―実務(国内行政担当者)の観点から山内由光
    • 発題5 ―実務(法律専門家/NPO・NGO)の観点から伊藤和子
  • 第2部: 今日および将来の国際社会、国内社会において世界人権宣言が持つ意義と役割
    • コーディネーターのコメント横田洋三
  • 資料1 登壇者レジュメおよびパワーポイントスライド
  • 資料2 世界人権宣言
  • 資料3 日本国憲法の人権規定
  • 資料4 世界人権宣言と日本国憲法の人権項目比較表
  • 資料5 世界人権宣言に言及する主要な人権条約
  • 索引
  • フォーラム登壇者紹介

※登壇者肩書は全てフォーラム開催時のものです。

著者紹介

フォーラム登壇者紹介(登壇順。肩書は登壇時)

  • 大谷實 公益財団法人世界人権問題研究センター理事長
  • 坂元茂樹 同志社大学教授
  • 滝澤美佐子 桜美林大学大学院教授
  • 薬師寺公夫 立命館大学特任教授
  • 高橋和4之 東京大学名誉教授
  • 木村草太 首都大学東京法学部法学科法律学コース教授
  • 三上正裕 外務省国際法局長
  • 山内由光 法務省大臣官房審議官
  • 伊藤和子 認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ事務局長
  • 横田洋三 公益財団法人人権教育啓発推進センター理事長

※フォーラム登壇者であり本書監修者であった横田洋三氏は、2019年6月12日に急逝されました。ここに謹んで哀悼の意を表します。

まえがき

はしがき

本書は、2018年11月2日に、(公財)世界人権問題研究センターと(公財)人権教育啓発推進センターの共催で、東京の日本財団ビル大会議室で行われた「世界人権宣言採択70周年記念フォーラム: 世界人権宣言の今日的意味」の記録である。このフォーラムの趣旨については、フォーラムの案内文書において、次のように書かれている。

「今年、2018年は、世界人権宣言が国連総会で採択されて70年目の記念すべき年である。この70年の間に、世界人権宣言に触発されて十指に余る地球規模の人権条約が国連を中心に採択され、日本を含む多くの国の批准を得て発効している。

ところで、世界人権宣言及びその人権規定の法的性格については、今日においても、国際法上及び国内法上も定説が確立しているとは言えない状況にある。

このフォーラムにおいては、国際法研究者、憲法学者、実務家の代表が集まって世界人権宣言の法的性格について検討し、今日及び将来の国際社会、国内社会において世界人権宣言が持つ意義と役割について考えてみたい。」

幸いこのフォーラムにおいては、発題者およびコメンテーターとして、国際法の分野から滝澤美佐子桜美林大学大学院教授および薬師寺公夫立命館大学特任教授、憲法の分野から高橋和之東京大学名誉教授および木村草太首都大学東京教授、また、実務の世界から三上正裕外務省国際法局長、山内由光法務省大臣官房審議官、伊藤和子ヒューマンライツ・ナウ事務局長という、それぞれの分野においてきわめて優れた実績のある最適任の方々にご登壇いただくことができて、大変意義深い意見交換の場となった。

フォーラムは、発題者およびコメンテーターのプレゼンテーションからなる「第1部:世界人権宣言の法的性格」(コーディネーター: 坂元茂樹同志社大学教授)、および、登壇者と会場の参加者の間の質疑応答からなる「第2部: 今日および将来の国際社会、国内社会において世界人権宣言が持つ意義と役割」(コーディネーター: 横田洋三人権教育啓発推進センター理事長)の二部構成をとった。本書は、フォーラムにおける登壇者の発言を録音データから文字化し、登壇者の確認を得たものである。ただし、表現上または表記上監修者がある程度の統一を図った。したがって、文責は監修者にある。なお、本書の専門的性格から、各登壇者の発言は個人的見解の表明であって、所属する組織や団体または本フォーラムの主催団体、本書の監修者の意見とは必ずしも一致するものではないことをお断りする。

読者の理解を助けるために、当日登壇者が使用したレジュメおよびパワーポイントのスライドを「資料」として巻末に付した。また、「資料」に「世界人権宣言」の日本語訳全文、「日本国憲法の人権規定」、「世界人権宣言と日本国憲法の人権項目比較表」、および「世界人権宣言に言及する主要な人権条約」を参考のために掲載した。

本書を通して、採択70年を経て世界で最も多くの言語に翻訳され、また、最も広く人権関係の条約や宣言等で権威ある文書として言及されている世界人権宣言への理解と関心が深まり、その法的性格を含む研究が一層進むことを願っている。

最後に、本書の刊行にご尽力くださった(株)国際書院の石井彰社長に、心からの感謝の意を表する。

2019年6月1日

監修者

横田洋三

大谷實

坂元茂樹

索引

    • ICJ 29, 32, 61, 62, 130(→国際司法裁判所)
    • ILO 60, 74, 125
    • LGBT 30, 45, 143
    • SDGs 14, 55(→持続可能な開発目標)
    • UPR 24, 30, 31, 59, 108, 121(→普遍的定期的審査)
  • あ行
    • アフリカ人権憲章(アフリカ統一機構憲章) 21, 29, 130(→人と人民の権利に関するアフリカ憲章)
    • 違憲立法審査 45, 100, 159
    • ウィーン(人権)宣言 20, 30, 131
    • 欧州人権裁判所 44, 60, 62(→ヨーロッパ人権裁判所)
    • 欧州人権条約 21, 44, 164(→ヨーロッパ人権条約)
  • か行
    • 慣習国際法 19, 22, 23, 24, 25, 29, 54, 121, 130(→国際慣習法)
    • 慣習法 22, 23, 25, 29
    • 強行規範 23, 29, 91, 121, 130
    • 強制失踪委員会 26, 31, 59, 60, 97, 106, 113
    • 強制失踪条約 55, 86, 87, 107, 132, 133, 163
    • 強制労働 75
    • 憲法優位説 36, 37
    • 行為規範 30, 97, 131
    • 公法 35, 85, 94
    • 拷問 22, 23, 29, 32, 55, 130, 147, 158, 161
    • 拷問等禁止委員会 31
    • 拷問等禁止条約 55, 76, 107, 132, 133, 163
    • 国際慣習法 72, 91(→慣習国際法)
    • 国際司法裁判所 24, 28, 29, 61, 122, 130(→ICJ)
    • 国際人権規約 9, 21, 22, 24, 31, 42, 49, 55, 105, 126
    • 国際人権章典 54
    • 国内人権機関(国内人権委員会) 97, 98, 99, 108, 110, 116
    • 国連憲章 14, 20, 28, 30, 53, 54, 56, 61, 62, 121, 130
    • 国連人権高等弁務官(事務所) 17, 19
    • 個人通報 59, 60, 104, 106, 107, 108, 109, 111, 115, 116
    • 個人の尊厳 30, 91, 96, 156
    • 子どもの権利条約 76, 133, 163(→児童の権利に関する条約)
  • さ行
    • 裁判規範 23, 28, 30, 43, 96, 97, 129
    • ジェノサイド 22, 54
    • 私人間 35, 38, 39, 74, 85, 86, 87, 88, 92, 98, 99, 100, 135
    • 私人間効力 35, 38, 43, 85, 100, 134, 135
    • 持続可能な開発目標 14, 55(→SDGs)
    • 自動執行力 28, 34, 35, 84, 129, 134
    • 児童の権利(に関する)条約 55, 130, 163(→子どもの権利条約)
    • 児童労働 75
    • 私法 94
    • 社会権 21, 22, 25, 27
    • 社会権規約 22, 24, 31, 42, 55, 76, 130, 131, 133, 163
    • 自由権 21, 22, 25, 56, 57, 178, 180
    • 自由権規約 22, 23, 24, 29, 31, 55, 60, 76, 130, 131, 132, 133, 163
    • 自由権規約委員会 60, 61, 113, 130
    • 受容方式 34
    • 障害者権利条約(障がい者権利条約) 55, 56, 133, 164
    • 照射効 43, 44, 45, 102
    • 条約優位説 37
    • 女性差別撤廃委員会(女子差別撤廃委員会) 60, 104, 105, 112
    • 女性差別撤廃条約(女子差別撤廃条約) 55, 76, 103, 104, 106, 133, 163
    • (国連)人権委員会 4, 54, 58, 60, 132
    • 人権教育 9, 26, 46, 72, 101, 102, 103, 138
    • 人権擁護委員 50, 63, 64, 66, 98, 99, 100
    • 人権理事会 24, 30, 58, 59, 60, 72, 74, 121, 123, 131, 137
    • 人種差別撤廃委員会 59, 60
    • 人種差別撤廃条約 49, 55, 76, 133, 163
    • 人身取引 75
    • 世界人権会議 19, 20, 30
  • た行
    • 直接適用 34, 88, 91, 134
    • 奴隷 22, 23, 75, 76, 147, 154, 161
  • な行
    • 難民 10, 25, 132, 163
    • 人間の尊厳 13, 14, 26, 53, 91, 95, 126, 145, 150
  • は行
    • ハンセン病 58, 59, 112
    • ビジネスと人権に関する指導原則 25, 74, 75, 85, 95, 138
    • 人と人民の権利に関するアフリカ憲章(人及び人民の権利に関するアフリカ憲章) 21, 164(→アフリカ人権憲章)
    • 普遍的(・)定期(的)審査(普遍的・定期的レビュー) 24, 30, 59, 121, 123, 131(→UPR)
    • ヘイトスピーチ 10, 45, 69, 87, 132, 143
    • 変型方式 34
    • 変型理論 88
  • や行
    • ヨーロッパ人権裁判所 45(→欧州人権裁判所)
    • ヨーロッパ人権条約 45(→欧州人権条約)
  • ら行
    • 留保 22, 42, 43, 91, 133