法文化(歴史・比較・情報)叢書 17 法を使う/紛争文化
利用者の視点から法的手段を考えることで、本書の各章からは紛争を解決するための種類・手段・選択する人々の姿が浮かび上がってくる。同時に「文化」の枠組みで法・紛争を捉える試みと議論が展開される。(2019.11.1)
定価 (本体3,600円 + 税)
ISBN978-4-87791-300-7 C3032 301頁
- 序 法を使う/紛争文化松本尚子
- 第1章 13世紀教会裁判所における紛争解決川島翔
- はじめに
- 1 フランクフルト証書集における訴訟事件
- 2 和解・仲裁の規律と事例
- 3 命令不服従の規律と事例
- おわりに
- 第2章 鎌倉御家人の法生活と訴訟: 悔返・未処分を中心に神野潔
- はじめに
- 1 悔返をめぐる一族内相論
- 2 未処分をめぐる一族内相論
- むすびにかえて
- コラム 川島翔報告ならびに神野潔報告へのコメント: 中世ヨーロッパ史研究の立場から鈴木道也
- 第3章 名誉をめぐる攻防: 「魔女」の名誉棄損訴訟と司法利用の戦略小林繁子
- はじめに
- 1 近世における名誉とその防衛戦略
- 2 名誉棄損訴訟
- 3 名誉棄損訴訟の事例
- おわりに
- 第4章 旧韓末期朝鮮の日本影響下における「訴訟観」の変化岡崎まゆみ
- はじめに
- 1 旧韓末における裁判機関の組織と運用
- 2 統監府期における日本人の韓国司法認識
- 3 『旧韓末民事判決原本』の分析
- おわりに
- 第5章 二重体制期オーストリア諸邦における自治体調停制度: 利用者の立場から考える上田理恵子
- はじめに
- 1 自治体調停の前史
- 2 自治体調停法(1869年)
- 3 改正自治体調停法(1907年)
- 4 施行後の利用者の姿を求めて ウィーン市を中心に
- おわりに
- コラム 岡崎まゆみ報告ならびに上田理恵子報告へのコメント: 日本近代法史の立場から林真貴子
- 第6章 明治民事訴訟法の「使い方」: 手続の手引・書式集・素人向け手引の検討水野浩二
- 1 明治民訴法への解釈: 「実務向け文献」という研究対象
- 2 「実務向け文献」の類型
- 3 「実務向け文献」の内容
- 4 「実務向け文献」の自己認識: 序文・序論の検討
- 第7章 ジャック・ヴェルジェスの司法戦略とミシェル・フーコーの哲学について西迫大祐
- はじめに
- 1 レジスタンスからアルジェリア戦争終結まで(1920-1962)
- 2 監獄情報グループから自由弁護運動まで
- 3 ヴェルジェスとフーコーが自由弁護運動に賭けたもの
- おわりに
- 第8章 紛争行動/法使用行動と法文化について尾崎一郎
- 1 折衷説?
- 2 「文化」概念再考
- 3 最新の実証研究を読み直す
- コラム 低訴訟率を捉える視点: 折衷でも循環でもなく(尾崎論文へのコメント)馬場健一
- 第9章 「文化」構成要素の分節化についての一試論松本尚子
- はじめに
- 1 「文化」概念再考への道筋
- 2 文化構成要素を分節化する
- 3 法史研究への応用例―19世紀中葉ヴァルデック侯国の自治体調停
- おわりに
- 編者・執筆者紹介
- 索引
編者・執筆者紹介 *は編者
- 松本尚子(まつもと・なおこ) *
- 1966年生まれ。一橋大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。法学博士(フランクフルト大学)。上智大学法学部教授(西洋法制史)。
- 主な業績: 『ホイマン「ドイツ・ポリツァイ法事始」と近世末期ドイツの諸国家学』(有斐閣、2016年)、『戦時体制と法学者 1931~1952』(小野博司・出口雄一との共編著: 国際書院、2016年)、「利用者からみた紛争解決比較への一考察」矢島基美・小林真紀編『滝澤正先生古稀記念論文集: いのち、裁判と法』(三省堂、2017年)。
- 現在の関心: 紛争対処の比較法史、19世紀ドイツの調停利用、ナチス政権下の司法など。
- 川島 翔(かわしま・しょう)
- 1988年生まれ。一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。広島修道大学法学部助教(西洋法制史)。
- 主な業績: 「中世カノン法の欠席手続―『グラティアヌス教令集』C.3 q.9を素材として」『一橋法学』16巻3号(2017年)、「アゾ『質疑録』第12質疑―中世学識法における仲裁法史の一断面」『一橋法学』15巻3号(2016年)、「中世学識法訴訟手続におけるlitis contestatio―訴訟成立要件としての当事者の意思」『一橋法学』15巻1号(2016年)。
- 現在の関心: 教会裁判所実務、司教代理判事(officialis)の活動。
- 神野 潔(じんの・きよし)
- 1976年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科公法学専攻後期博士課程単位取得退学。東京理科大学理学部第一部教養学科准教授(日本中世法史)。
- 主な業績: 共編『概説日本法制史』(弘文堂、2018年)、『穂積陳重と婚姻法―その理論と背景』(『渋沢研究』第29号、2017年)など。
- 現在の関心: 鎌倉幕府の法と権力、日本近代における法制史学史。
- 鈴木道也(すずき・みちや)
- 1969年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程西洋史学専攻単位取得退学。博士(文学)[東北大学]。東洋大学文学部史学科教授(西洋中世史)。
- 主な業績: 「中世の政治文化をめぐって : 中世フランス政治史研究の現状」『東洋大学文学部紀要 史学科篇』43号(2017年)、「フランス史の時空間」『新しく学ぶフランス史』(ミネルヴァ書房、2019年)など。
- 現在の関心: 中世ヨーロッパの歴史叙述、中世における百科全書的作品の成立過程など。
- 小林繁子(こばやし・しげこ)
- 1978年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)[東京大学]。新潟大学教育学部准教授(ドイツ近世史)。
- 主な業績: 『近世ドイツの魔女裁判―民衆世界と支配権力』(ミネルヴァ書房、2015年)、「魔女研究の新動向―ドイツ近世史を中心に」『法制史研究』65号(2016年)、「は例外犯罪か―近世ドイツにおける犯罪と拷問」『思想』1125号(2017年)など。
- 現在の関心: 魔女裁判における法学識者の役割、近世ポリツァイと請願の相関など。
- 岡崎まゆみ(おかざき・まゆみ)
- 1985年生まれ。明治大学大学院法学研究科博士後期課程修了、博士(法学)。立正大学法学部准教授(日本/東アジア近代法史)。
- 主な業績: 「「帝国」としての民法学へ」松田利彦編『植民地帝国日本における知と権力」(思文閣出版、2019年)、松田利彦・岡崎まゆみ編『植民地裁判資料の活用: 韓国法院記録保存所所蔵・日本統治期朝鮮の民事判決文資料を用いて』(国際日本文化研究センター、2015年)、「植民地期朝鮮民事法における戸主権の機能: 明治民法の「家」制度との比較を中心に」『法学研究論集』39号(2013年)。
- 現在の関心: 帝国日本における法の伝播と還流、東アジア植民地法史。
- 上田理恵子(うえだ・りえこ)
- 1965年生まれ。一橋大学法学研究科博士後期課程単位取得退学、法学博士(ウィーン大学)。熊本大学人文社会科学研究部・教授(西洋法制史)。
- 主な業績: 「在野法曹と非弁護士の間―オーストリア司法省文書にみる公的代理業」三阪佳弘編『「前段の司法」とその担い手をめぐる比較法史研究』(大阪大学出版会、2019年)、「ライタ川以西における『非弁護士』試論―オーストリア司法省文書を手がかりとして」『法制史研究』67号(2018年)、"Austrian and Hungarian Civil Procedure Codes from the Perspective of Japanese Lawyers: A Focus on Taisho Period Revisions of the Civil Procedure Code (1926)". In Mitoma, T. & Szmodis, J. , eds. Legal Values in Japan and Hungary, Design Egg, 2018.
- 現在の関心: 中・東欧地域における司法制度の近代化過程、法専門職の歴史など。
- 林真貴子(はやし・まきこ)
- 1968年生まれ。大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。PhD(ロンドン大学)。近畿大学法学部教授(日本法制史)。
- 主な業績: 「無資格者による法廷代理とその終焉」三阪佳弘編『「前段の司法」とその担い手をめぐる比較法史研究』(大阪大学出版会、2019年)、「借地借家調停法の成立と施行地区限定の意味」『近畿大学法学』65巻3=4号(2018年)など。
- 現在の関心: 1930年代・40年代の法実務と法律家の役割の国際比較。
- 水野浩二(みずの・こうじ)
- 1973年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。
- 北海道大学大学院法学研究科教授(西洋法制史)。
- 主な業績: Das officium iudicis und die Parteien im rmisch-kanonischen
- Prozess des Mittelalters (ZRG KA 97 [2011]), 「葛藤する法廷(1~3・完)『法律新聞』の描いた裁判官・民事訴訟・そして近代日本」『北大法学論集』67巻4~6号(2016~2017年)。
- 現在の関心: 民事訴訟法史、私法における学説と実務の関係など。
- 西迫大祐(にしさこ・だいすけ)
- 1980年生まれ。明治大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。沖縄国際大学法学部准教授(法哲学・法制史)。
- 主な業績: 『感染症と法の社会史』(新曜社、2018年)など。
- 現在の関心: 19世紀イギリスの感染症予防にみられる自由思想および公衆衛生思想の関係について。
- 尾崎一郎(おざき・いちろう)
- 1966年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。北海道大学法学研究科教授(法社会学)。
- 主な業績: 「法と正義: その親和性と懸隔」『法社会学』78号(2013年)、「司法への市民参加と文化ギャップーベルギーと台湾の調査からの問い-」広渡清吾先生古稀記念論文集『民主主義法学と研究者の使命』(日本評論社、2016年)、「「ネットワーク社会」における「都市コモンズ」について」吉田克己=角松生史編『都市空間のガバナンスと法』(信山社、2016年)、「所有権概念の社会的機能」『法律時報』(2019年2月号)、「ヘイト・スピーチの規制と無効化言語行為論からの示唆」(堀田秀吾・郭薇・李楊との共著)ダニエル・H・フット=濱野亮=太田勝造編『法の経験的社会科学の確立に向けて村山眞維先生古稀記念』(信山社、2019年)など。
- 現在の関心: 現代社会における相互監視と分散的制裁。
- 馬場健一(ばば・けんいち)
- 1962年生まれ。京都大学法学研究科博士後期課程単位取得退学。神戸大学大学院法学研究科教授(法社会学)。
- 主な業績: 「訴訟率の地域差とその規定要因について―特に本人訴訟率における多元的説明の試み―」『法社会学』83号(2017年)、「司法制度利用率の地域研究の示唆するもの―沖縄の経験から法と社会を考える―」上石圭一・大塚浩・武藤勝宏・平山真理編『現代日本の法過程(下巻)』(信山社、2017年)、「行政は司法判断に従うか?―情報公開からみる日本の法治行政の実情―」『法社会学』85号(2019年)他。
- 現在の関心: 法治行政の法社会学的研究、訴訟率の規定要因、司法制度改革など。
法を使う/紛争文化
松本尚子
本書のタイトルは、一般にはほぼ耳にすることのない表現である。正義を司る法に対して、「使う」という言い草は不遜ではないか、そもそも紛争は文化なのか、そう感じる読者がおられるかもしれない。それでもこの表現を用いるのは、一つには、話し合いから殺し合いまでさまざまな局面がある「紛争」という人為に対する法的な対処一般を、裁判という枠にとじこめることなく、「文化」の枠組みで捉えようとするためである。
本書のもう一つのねらいは、利用者の視点から法的手段を考えることにある。人は大義名分や権利といった高尚な(もしくは抽象的な)価値実現を目指して法に訴えるとはかぎらない。統計的にはむしろ、貸した金や潰された面子を取り戻したいといった、卑近で具体的な動機から法的手段に訴えるケースのほうが多い。貸金業者のように、利潤のために業として法的手段に訴える司法利用もある。何より、訴訟等の法制度は平和的紛争解決手段の一つにすぎず、それを回避したり無視したり、あるいは「ちらつかせ」たりすることで紛争解決が図られることは少なくない。「泣き寝入り」もある。本書では、こうした法利用の諸々の局面を考察の対象からはずさないために、敢えて卑近で具体的な「使う」という表現を用いることにした。
もっとも、「法を使う」という表現は、本書のオリジナルではない。1990年代のドイツ近世史研究で唱えられた「司法利用Justiznutzung」という作業概念からの借用である。「司法利用」 はミクロ史・日常史および文化人類学の潮流から生まれたもので、提唱者のマルティン・ディンゲスによれば、国家中心史観から距離をとり、司法の利用者としての住民の「下から」の視点を歴史にとりいれることをねらいとしたものである。ディンゲスの眼には、従来のドイツ国制史は「近代化信仰により描かれる、国家のサクセスストーリー」を喧伝するものに映る。彼の憂慮するのは、このような物語が「過去の状況を実際の姿より悪く」描くことであり、とりわけ、「司法と社会のあいだの本来スリリングな境界面が、これによって視界から抜け落ち」ることである*1。
法文化叢書はこれまで、第6巻『ネゴシエイション』において、合意形成や紛争解決のための交渉に、次いで第7巻『法の担い手たち』において、(立法者・法学者と並んで)法曹に焦点を当て、「法文化」にとって根本的なテーマのひとつである「紛争解決」の営みを分析してきた。他方で、諸処の紛争解決手段や制度にたいして、「利用者の行動」という観点から光が当てられたことは、これまでにはなかった。しかし、「人はいつ裁判に訴えるのか」、「紛争解決の手段をどのように選択し、あるいは回避するのか」、「紛争解決制度の利用しやすさは、紛争の内容、場所そして人によって、どのように異なるのか」といった問いは、政治家や専門家がつくる「制度」ではなく、「文化」を表看板に掲げる法文化学会では、避けて通れないものではないだろうか。本書が、基礎法学で主に対象とされてきた「裁判」や「訴訟」に考察対象を限定することなく、それ以外の法的手段との付き合い方にも注目するのは、このような問題意識によるものである。と同時に、紛争解決の営みと「法文化」の関係をめぐる理論にたいして、さらなる課題や問題領域を探求する試みでもある。
1 法利用をめぐる今日の研究状況
2つのことが、本書の契機となった。ひとつは、最近法学文献等で見られるようになった、「利用しやすい司法」や「法使用行動」ということばである。前者はたとえば、2000年の司法制度改革審議会意見書にみられる*2。裁判員制度や法科大学院の設置と並んで、労働審判制度の設置やADR制度の充実等を提言したことで知られる意見書であるが、これらの提言の土台となっているのが、「国民の期待に応える司法制度」、ひいては、「より利用しやすい司法制度」確立という目標である(傍点は筆者)。意見書が改革の基本方針としてまとめた3本柱のなかにも、「司法制度をより利用しやすく、分かりやすく、頼りがいのあるものとする」ことが謳われている。このように司法の利用者にターゲットを絞った視点は、1960年代の臨時司法制度調査会には未だなかったものである*3。
「国民の期待に応える司法」。目標は明快だが、ゴールにたどり着くための実態把握は十分に行われているのだろうか。裁判や裁判外紛争解決制度を利用する人は、どれだけ潜在的にいるのか。使われない公民館やスタジアムのような、箱物行政型司法制度を作るのはよろしくない。なるほど、まず審議会自体が大規模な「民事訴訟利用者調査」を実施し、2000年に結果を公表している*4。また、2003年からは最高裁判所が「裁判の迅速化に係る検証」報告を続けており、とりわけ第5回報告書は、「紛争や事件の動向に影響を与える社会的要因の分析・検証」という新しい試みにチャレンジしている*5。ただし、統計データに地裁しか含まれておらず、簡易裁判所が分析対象からはずされていることには疑問を感じる。
法学においても、利用者視点からの紛争解決分析が進んでいる*6。たとえば上記の「民事訴訟利用者調査」結果を「徹底分析し、今後の課題を探る」試みが、民事訴訟法学者を中心に続けられている*7。2010年には、法社会学者を中心に叢書『現代日本の紛争処理と民事司法』(全3巻)が刊行され、現代人の法意識・紛争経験と対応行動に対する大規模なアンケート調査の結果が示された*8。前者が民事訴訟利用経験者を対象とした調査であるのに対して、後者の調査はより広く、日常何らかのトラブルに遭遇し得る人を対象とており、本書の関心により近い。とくに第2巻『トラブル経験と相談行動』では、個人が経験したトラブルに対処するために、家族、友人、あるいは法やその他のさまざまな専門性を持つ人や組織などから支援を得ようとする行動(相談行動)の実態把握調査を、「法使用行動調査」と呼んで実施している。
本書の2つ目の契機は、川島武宜『日本人の法意識』(1967年。以下『法意識』と略)から50年が経ったことである*9。日本人の訴訟回避傾向を最初に指摘したとされる川島の主張を要約すれば、それは「伝統的に日本人には「権利」の観念が欠けている」がゆえに、日本では一般に「私人間の紛争を訴訟によって解決することを、ためらい或いは嫌うという傾向がある」*10となろう。法社会学ではこの問題提起が永らく論じられてきた。「日本人の法意識」研究は「戦後日本の法社会学の最大の課題であった」*11とも言われ、川島の法意識論・近代化論を中心としてさまざまな展開を見せてきた。今日の法社会学理論は、川島の理論それ自体ではなく、「法意識論」台頭の経緯や川島受容史を語るステージにも立っている*12。
一方、比較法学においては、川島の問題意識はより具体的・実際的な比較を促す題材として捉えられてきた。たとえば五十嵐清『比較法ハンドブック』(2010年)は、日本における民事訴訟率の低さをめぐる「文化要因説」「制度要因説」を中心とする半世紀以上の議論を俯瞰したうえで、今後は「折衷説」*13の枠組みの中で、「より具体的な比較」すなわち「特定のテーマ(たとえば消費者契約)について、特定の国(たとえばドイツ)とのあいだに、どれだけ訴訟の数が違うかを確かめ、その原因として、どのような文化的・制度的な要因が作用しているかを明らかにすることが必要」であるという提言をしており、また交通事故、公害など個別のテーマに対して実際に検証作業が進んでいるという*14。なお、五十嵐が示したこの「より具体的な」分析への展望は、最近の法社会学においても共有されているようである*15。
『法意識』後の議論は、訴訟社会を批判する1970年代アメリカの議論を背景に、裁判外紛争解決手続(ADR)をめぐる論議が活性化したことでさらなる展開を見せている。アメリカのADR促進法(1998年)を筆頭に世界各国で立法化が進んだこともあり、ADRの理論と実証研究は飛躍的に増加した*16。ADRへの注目は、日本従来の紛争解決制度研究にも風穴を開けた。ADR論からすれば、過去の論客の主張はおしなべて対象を裁判に限定した点では同じであり、そこでは均しくADRが無視され、もしくは前近代の遺物とみなされている。こうした議論と平行して、1990年代から調停史研究への関心が高まり、とりわけフランスの調停制度を継受した日本の勧解制度に関する実証研究が進んだ*17。また、「紛争制度研究」と「紛争研究」を区別し、前者の代表例として川島武宜の研究を挙げたうえで、後者すなわち紛争の動態的な展開の分析を目指す「紛争研究」を提唱、実践する動きも見られる*18。
ADRへのこうした関心と評価が高まるなか、法史学からも『法意識』への批判が呈示された。川口由彦は70年代の近代法研究の成果に依拠しつつ、川島が「欧米諸国を極度に理論化したため、ヨーロッパの固有にヨーロッパ的なもの、アメリカの固有にアメリカ的なものを捨象」してしまったと指摘。とりわけ村上淳一『近代法の形成』が示したようなヨーロッパの「家長」社会は、「近代社会」を「自由で主体的な個人」の集合体とみた川島の認識とは大きく異なる実態を描き出したという。そして、川島の目に日本的・前近代的と映った「調停」はほんとうに前近代の遺物だったのかという疑問から、近代における裁判外紛争解決制度の各国それぞれの展開を実証的に跡づけることが必要だと考える。こうした問題意識からスタートした川口主催の共同研究は、英仏独中日それぞれの近代調停制度の形成過程や運用実態をはじめて包括的・実証的に比較する試みとなった*19。この共同研究に参加していた石井三記は2014年、リール大学司法史研究所と共催したシンポジウムにおいて、法曹にかぎらず、当事者その他のあらゆるアクターに調査を広げ、とくに調停利用が多い家族法や労働法領域での日仏比較法史を模索した*20。こうした企画の背景には、フランスで1990年代から確立した司法史(Histoire de la justice)が、歴史学や社会学、文化人類学等の学際的な研究分野としても活性化している状況があるという。
2 本書の構成
本書は、9つの論考と3つのコメント(コラム)を掲載している。
第1章の川島論文は、中世ヨーロッパの教会裁判所における紛争解決を、当事者の訴訟戦略から読み解く。すでに先行研究が、13世紀の教会裁判所は終局判決ではなく、仲裁・和解で収束する事例が圧倒的に多いという知見を示しているが、これを踏まえて川島が光を当てるのは、従来の研究ではほぼ不問に付されてきた、「教会の思惑どおりに行動しない」という、当事者の選択である。たとえば、教会裁判所はしばしば、法廷に出頭しない当事者を命令不服従(不出頭)のかどで破門したが、それが功を奏さないケースが数多くみられるという。史料から浮かび上がってくるのは、「自己利益の最大化を図って行動する当事者」という図像である。
第2章の神野論文は、鎌倉幕府の法廷に提起された数多くの訴訟の中から、御家人の一族内紛争に関する訴訟に焦点を当て、鎌倉御家人がいつ・どのタイミングで・何をめぐって幕府裁判所を選択・利用したのかを問う。典型的な一族内紛争としては、悔返(被相続者が相続者に一度譲与した所領を取り返すこと)と未処分(「本主」がその遺領に関する意思を全く示していない状況)があるが、神野は前者に関する訴訟が後者より多いことを検証したうえで、「一族内の紛争であっても、幕府に訴えやすいタイプのものと、一族内で解決する傾向が高いもの」があったとする。幕府の裁判所は御家人にとって高コストで気楽に利用できるものではなかったが、それでも、一族内では埒の明かない問題について、幕府の裁判所が用意した一定のルールのもとで「バトル」を行う事が、御家人にとって意味を持った。
第3章の小林論文は、ドイツ近世史から、魔女裁判最盛期(16・17世紀)の司法利用例を提供する。いったん魔女として告訴されれば火刑に処せられる危険が極めて高かった時代に、「魔女」の誹りを受けた当事者は、自己防衛のために先手を打ち、相手方を名誉棄損で訴えることがあった。小林はこれを「司法利用」の例として考察する。魔女風評への対抗手段としては他に、自ら申し出て「水審」を受け無罪を証明する例があり、水審は費用面等からして「経済的制約のある者にとっては合理的な選択肢の一つ」であった。一方で、長期の訴訟に耐えうる資産をもつ富裕層にしばしばみられたのが、名誉棄損訴訟であった。近世の裁判機構にみられる管轄の重複や審級制の未確立は、国制史においては中央集権の欠如と見なされるが、小林は「法の受け手である臣民にとって多様な法の利用を可能に」もしたという別の解釈を提示する。
第4章の岡崎論文は、世紀転換期の旧韓末朝鮮を対象に、日本の影響下で展開された同国の司法制度整備が人々の訴訟観にもたらした変化を追う。伝統的な朝鮮社会では裁判は珍しいものではなく、「理」をつくすために「繰り返し行われる」裁判が永らく定着していた。これに対し、1895年の裁判所構成法等の制定以降、判決の確定的効力や既判力が浸透していく。岡崎は、民事訴訟記録を精査して「蒸し返し」裁判の減少を確認し、上記の「近代化」が人々の間に訴訟を控える風潮をもたらしたのではないかと問う。日本の強い関与のもと行われた「近代化」は、朝鮮社会においてあくまで「理」を補充するものに過ぎなかった「法」(裁判)を「紛争解決における絶対的根拠としていわば再定置する過程」であった。
第5章の上田論文がとりあげるのは、19世紀後半オーストリアの自治体調停制度である。自治体調停制度は、自治体住民から選ばれた非法律家が和解交渉を先導するもので、安価なコストと簡便な手続きで紛争解決を見込める制度として導入された。1907年には名誉棄損事件が調停前置とされ、同制度の利用がさらに促された。ところが史料から明らかになるのは、同調停よりも裁判所へ赴く当事者の方がはるかに多かったという事実である。不人気の理由として上田が挙げるのが、和解成立率の際立った低さや、「基本的には裁判所の職権主義に頼る」という、当時の利用者の傾向である。本論文は、最近の調停史研究にオーストリアという新地平をもたらした一方で、自治体調停が庶民の間に定着しなかった貴重な実例を提示したものと言えよう。
第6章の水野論文は、1891年明治民訴法施行以降、連綿と紡ぎだされた民事訴訟の「実務向け文献」に着目し、このうち本書のテーマに関連する「手続の手引」「書式集」、そしてとりわけ「素人向け手引」の内容を分析する。研究史上顧みられることのほぼなかったこれらの史料群を発掘した著者は、素人向け手引自体は継受母国のドイツでも多数出版されていたことを指摘しつつ、当時の日本の「素人向け手引の顕著な特徴」として、「戦術的・きわどいアドバイス」を挙げ、それ自体は「法の「使い方」としては濫用・逸脱ではあるが、人々が積極的に法を使おうとしていたことの表れともいえる」という。
第7章の西迫論文は、「審判を受ける場としてではなく、信念を世に広く知らせる場」(ネルソン・マンデラ)として、法廷を戦略的に利用した20世紀中葉のフランスの弁護士ヴェルジェスの活動と、これに共鳴した哲学者フーコーらが1980年代に立ち上げた「自由弁護運動」をとりあげる。ヴェルジェスの弁護活動は、アルジェリア独立戦争時のレジスタンスに対する刑事裁判への批判としてスタートした。これに対して80年代の「自由弁護運動」は、「弁護士任せではなく、被告人が自らの手で自由に弁護すること」「法律の専門家たちから言葉を取り戻すこと」を目指した啓蒙活動であった。著者はこれらの運動の今日的な意義、可能性と限界を考察する。
第8章の尾崎論文は、日本の低民事訴訟率の要因をめぐる今日の議論状況を批判的に検討する。まず、比較法学者・五十嵐清による議論状況の整理に対し、「文化要因説」と「制度要因説」の優劣を吟味するという問題構成は、いたずらに議論を混乱させるだけであり、ましてや両説の「折衷説」は論外、という問題提起が掲げられる。尾崎がとりわけ問題視するのは、議論において文化概念への吟味が足りていないことである。「文化」それ自体には実体がないこと、ゆえに「文化」と「制度」は論理階梯が異なり、「制度もまた『文化』を構成する」と説く著者は、学術的議論において「のような本質主義を厳しく排除した文化概念」を提示する。
第9章の松本論文は、「文化要因説」と「制度要因説」の「折衷」という定式に対する本書8章・尾崎論文の問題提起やこれに対する馬場コメントに学びつつ、両者の立論を法史学の実証研究に応用しようとする試みである。具体的には、「文化」「制度」の二項対立図式を取下げ、代わりに「文化」を構成する諸要素を5つの上位項目と19の下位項目に区分し、これらの項目のうちのどれかが必ず、人々の法利用行動の規定因子となっている、という説明枠組を描く。そして、この枠組が実証研究にとって有用なのか否かを、19世紀中葉ドイツにおける自治体調停(ヴァルデック侯国治安判事)の調査結果をもちいて検討する。
なお、本書の論文の多く―具体的には第1,2,4,5,7,8章―は、2017年11月11日の法文化学会で発表された報告を基に作成されたものである。3つのコメントも、学会当日の発表が基になっている。報告とコメントは双方向性があり、学術的緊張感を孕んだものだったので、編集においては、報告・コメント間のやり取りを生きたままのかたちで再現することを目指した。しかし、執筆者にとっては、報告でのテーゼや主張をそのまま残し、報告とは異なる個所は異同を明示するという方針は、必ずしも簡単な課題ではなかったようである。快く応じて下さった執筆者諸兄に、この場を借りて御礼を申し上げたい。さらに、フロアからは、長い一日の消耗戦に対して全く疲れを見せない精力的な質問を多数いただいた。紛争解決フォーラムの選択基準、判決の実効性や法観念に対する今日の評価方法等々。どれも共同研究のテーマになりうる問題関心であり、今後の展開が楽しみである。
3 展望と課題
本書では、紛争解決のための法利用行動を対象とした研究で緩やかにつながるフォーラムを目指した。こうした試みは、川島武宜が『法意識』を執筆した当時には存在していなかった、上記の諸研究・議論の蓄積の恩恵を受けるものである。本書の各章からは、さまざまな時代と社会で、紛争の種類や自らの置かれた社会的・経済的状況により最適なツールや方法を選択する人々の営みが浮かび上がってきた。と同時に、法利用行動により醸成されていく紛争(解決)文化を論じ、比較分析するためにはどのような仕組み・枠組みが有効かという問いは、課題として残る。
また、言うまでもなく、今日「法利用」として研究対象となる材料は、本書で扱われたトピックのほかにも多々ある。時事的現象としては、たとえば、グローバル化とともに急速に発展した国際仲裁裁判所における法人の法利用や*21、国際取引や国際結婚の当事者が国境を越えて自分に有利な法廷を選択する「フォーラムショッピング」現象が注目される*22。家族やジェンダー秩序の変化が広義の司法利用にどのような影響を及ぼしているのか、あるいは多重債務者がとり得る手段としての自己破産・特別調停・過払分返金訴訟などの司法利用高利貸やサラ金のような司法外(ときに法の外でもある)要素とどのような関係にあるのかも、本書では扱えなかった。歴史研究においては、中国訴訟社会史研究の成果が目覚ましいが*23、こちらもとりあげることができなかった。他日を期したい。
本書の編集にあたっては、国際書院の石井彰氏に要所要所で絶妙にタイムリーなアドバイスをいただいた。また、遅れがちな編集に対する関係各位のご理解とご厚情なくしては、本書は成り立たなかった。2017年度の上智大学西洋法制史ゼミ生には、学会当日の手伝いに加え、紛争文化をテーマとしたゼミ論文作成というかたちでお付き合いいただいた。同年度のゼミ論文集は、編者にとっては本書に劣らず重要な記録となった。記して感謝したい。
2019年3月
編者 松本尚子
〈注〉
*1: Martin Dinges, Frhneuzeitliche Justiz. Justizphantasien als Justiznutzung am Beispiel von Klagen bei der Pariser Polizei im 18. Jahrhundert, in: H. Mohnhaupt / D. Simon (Hg.): Vortrge zur Justizforschung. Geschichte und Theorie, Bd. 1, Frankfurt a. M. 1992, S. 269-292. 詳細は、松本尚子「利用者からみた紛争解決比較への一考察―19世紀末日独の調停を題材に」、矢島基美・小林真紀編『滝澤正先生古稀記念論文集―いのち、裁判と法 比較法の新たな潮流』(三省堂、2017年)229-248頁を参照されたい。犯罪史の文脈では、Martin Dinges, Justiznutzungen als soziale Kontrolle in der frhen Neuzeit, in: A. Blauert / G. Schwerhoff (Hg.), Kriminalittsgeschichte. Beitrge zur Sozial- und Kulturgeschichte der Vormoderne, Konstanz 2000. 邦文によるディンゲスの紹介で、比較的最近のものとして、紫垣聡「ドイツ中近世の地域社会における秩序形成をめぐる研究状況」『パブリック・ヒストリー』9号(2012年)37-46頁(42頁)。
*2: 司法制度改革審議会意見書「I今般の司法制度改革の基本理念と方向」 http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/report/ikensyo/pdfs/iken-1.pdf (2019/02/20最終閲覧) なお、これに先立つ1996年の民事訴訟法改正時の基本方針にも「利用しやすい」司法が掲げられており、今般の司法改革ではこれをさらに「より利用しやすく」しようとしたものと解される。参照、川嶋四郎『日本人と裁判―歴史の中の庶民と司法』(法律文化社、2010年)。
*3: 1962年の臨時司法制度調査会設置法により設けられた審議会は、法曹一元制度と裁判官・検察官の任用・給与制度を中心とした調査を実施し、1964年に意見書を提出している。
*4: http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/tyousa/2001/survey-report.html (最終閲覧2018/08/31)
*5: http://www.courts.go.jp/about/siryo/hokoku_05_hokokusyo/index.html (最終閲覧2018/08/31)
*6: 濱野亮「司法アクセスに関する論点」『立教法学』98巻(2018年)144~93頁(とりわけ101~93頁)の網羅的な文献リストを参照されたい。紛争当事者の行動に着目した最近の研究としては、仁木恒夫「したたかな紛争当事者の紛争解決」西田英一・山本顯治編『振舞いとしての法』(法律文化社、2016年)205~221頁がある。
*7: 佐藤岩夫・山本和彦・菅原郁夫(編)『利用者からみた民事訴訟―司法制度改革審議会「民事訴訟利用者調査」の2次分析』(日本評論社、2006年)。菅原郁夫・山本和彦・佐藤岩夫編『利用者が求める民事訴訟の実践―民事訴訟はどのように評価されているか』(日本評論社、2010年)。
*8: 村山眞維ほか編著『現代日本の紛争処理と民事司法』(全3巻)(東京大学出版会、2010年)。
*9: 一般に最も知られている川島の法意識論はこの1967年の新書だが、それに至るまでの川島の主張の推移を簡潔に整理した叙述として、村山眞維「日本人の紛争行動―問題処理行動を規定する要因―」『法律論叢』第89巻第4・5合併号(2017)275~310頁(とりわけ276頁以下)がある。
*10: 川島武宜『日本人の法意識』(岩波書店、1967年)15頁、127頁ほか随所。
*11: 角田猛之「千葉・法文化論と安田理論からの展望 千葉・法文化論再考」、角田猛之・石田慎一郎『グローバル世界の法文化―法学・人類学からのアプローチ』(福村出版、2009年)20頁。
*12: たとえば、川島の『法意識』前史を描いた、高橋裕「ある「法文化」の生成 ―誰が裁判嫌いの「神話」を生んだのか」、岩谷十郎編『再帰する法文化』(国際書院、2016年)175~205頁。
*13: なお、「折衷説」という考え方には、本書第8章に重要な批判が提起されている。
*14: 五十嵐清『比較法ハンドブック』(勁草書房、2010年)289頁。交通事故の損害賠償事件を題材にした中里実や公害・製造物責任を検証するダニエル・フットの研究を紹介する同書283~285頁も参照。なお、著者の死後公刊された本書第3版(2015年)も、内容に変わりはない。
*15: 濱野・前掲論文(注6)131頁は、上記法使用行動調査の知見を踏まえ、今後「紛争行動や法使用行動の特質を論じるには,問題類型ごとに分析する必要がある」という。
*16: 和田仁孝『ADR―理論と実践』(有斐閣、2007年)ほか多数。
*17: 勝田有恒「紛争処理法制継受の一断面─勧解制度が意味するもの」『ユリスプルデンティア 国際比較法制研究I』(1990年)6~69頁;丹羽邦男「明治政府勧解制度の経済史上の役割」『商経論叢』30-1(1994年)31~83頁;林真貴子「勧解制度選好の要因」『近畿大学法学』51巻1号(2003年)1~23頁ほか。
*18: 和田仁孝「紛争研究パラダイムの再構成へ向けて」『法政研究』61巻3・4号1095-1123頁、1096頁。西田英一「日常的実践としての紛争・処理」和田仁孝編『法社会学』(法律文化社、2006年)105~122頁。
*19: 川口由彦編著『調停の近代』(勁草書房、2011年)。
*20: 2014年1月25日の法制史学会中部部会・リール大学法学部司法史研究センター共催「日仏司法史シンポジウム」。プログラムについては、法制史学会ホームページを参照されたい。その成果の一つに、林真貴子「個別労働紛争と裁判所――明治前期の「雇人」を中心に―」『中京法学』49巻3・4号(2015年)103-126頁。
*21: 国際仲裁裁判所の利用に関する研究はまだ本格的には始まっていないようである。上智大学川瀬剛志教授の剛志教授のご教示に感謝申し上げたい。
*22: Vgl. Stefan Vogenauer, Regulatory Competition through Choice of Contract Law. and Choice of Forum, in: H. Eidenmller(ed.), Regulatory Competition in Contract Law and Dispute Resolution, Oxford 2013, pp.227-284.
*23: 夫馬進編『中国訴訟社会史の研究』(京都大学出版会、2011年)ほか。
- 数字
- 10分の1税 28, 43
- 1869年法 150, 151
- 1907年改正法 150-152
- 9分の1税 30, 43
- アルファベット
- CAP 216
- culture change 243, 244
- Doing Culture 272
- Doing Gender 272, 286
- Doing Law 272
- GIP → 監獄情報グループ
- Justiznutzung → 司法利用
- M・ディンゲス → ディンゲス
- い行
- 五十嵐清 12, 17, 231, 232, 248, 266, 267, 286, 287
- 石井三記 14
- 一族内相論 48, 50, 63
- 一般裁判所法 144
- 伊藤博文 113, 114, 116, 121-125
- 違約罰 32, 33, 39, 44
- う行
- ヴァルデック 17, 277-279, 281, 282, 284, 285
- ヴェルジェス 16, 207, 208, 210-215, 217-219, 222-226
- え行
- 営業裁判所 283, 284
- お行
- 於音訟 118, 129
- 親方裁判所 149
- 恩赦 78, 79, 82, 87
- か行
- 改正自治体調停法 150
- 学説 184-186, 188, 189, 191, 196, 202
- カトリック教会 78
- カノン法 35, 45
- 過払分返金訴訟 18
- 鎌倉幕府追加法 52, 63
- 川口由彦 13, 176
- 川島武宜 12, 18, 231, 245, 247, 254
- 勧解人 279, 282, 286, 289
- 監獄情報グループ(GIP) 208, 215, 216
- 漢城裁判所 115-117, 119, 121-123, 126-129, 131, 133, 137
- 関東御式目 63
- 関東裁許状 48, 51, 64
- き行
- 既判力 15, 32, 34
- キムリッカ 233
- 旧韓末民事判決集 127, 128, 131, 137
- 教会裁判所 14, 77-79, 83, 84, 86
- 教科書 184, 188, 193, 200
- 議論・交渉フォーラム 69
- 近代 183, 187-189, 195, 200
- 近代化 240
- 近代化説 240
- く行
- 区裁判所 143, 147, 153, 156, 163
- 区調停 154, 156, 158, 159
- 悔返 14, 48, 50, 52, 56, 59, 67
- クライン 147, 148, 152, 166
- 郡守裁判 115, 117
- け行
- 経済説 240
- 継受 183, 189
- 言語論的展開 270
- こ行
- 公権力 84, 85
- 甲午改革 114-116, 119
- 構成主義 271
- 構築主義 269, 271-273, 286
- 高等裁判所 115, 127, 128
- 後判之譲 50
- 抗弁 32, 34, 37, 39, 44, 45
- コーズ・ローヤリング 207, 208, 225
- 国際仲裁裁判所 18
- 国制史 10
- 御成敗式目(式目) 47, 49, 50, 54, 55, 57, 60, 61
- コンメンタール 185-187, 197
- さ行
- 債訟 118, 129
- 裁判官 185, 194, 202, 203
- 裁判権 90, 94, 97, 100, 108
- 裁判集会 78
- 裁判所管轄法 147
- 裁判所構成法 114-117, 126, 128, 134, 135, 281
- 裁判所書記 184, 200, 202
- 裁判外紛争解決手続(ADR) 13
- 山訟 118-120, 129, 132, 135, 138
- 残余説 245, 247
- し行
- ジェンダー顕在化行為Doing Gender 272, 287
- ジェンダー秩序 275, 288
- 時宜 60, 61
- 式目→ 御成敗式目
- 自己破産 18
- 自治体調停 15, 17, 143, 146-149, 152, 154, 156, 158, 159, 162, 163, 265, 277-279, 281, 282, 285, 286, 289
- 実務法曹 183, 184, 186-188, 191, 193, 200, 202
- 実務向け文献 183-185, 188, 189, 191, 193, 195, 196, 200, 201-203
- 地主小作関係 283
- 司法改革 257
- 司法制度改革審議会 11, 19
- 司法統計 239
- 司法利用 Justiznutzung 10, 15, 89, 90, 99, 109, 275, 290
- 社会学 14, 266, 272, 273
- 社会構成的文化 234
- 社会構造 240, 241
- 終局判決 23, 28, 33, 42, 45
- 囚人活動委員会 208, 215-217
- 自由弁護運動 207, 208, 215-222, 225
- シュペンス=ボーデン 149
- 循環説 238, 254, 255, 262, 263
- 情 118
- 少額事件 163
- 少額事件手続法 143
- 上訴 32, 34, 37, 39, 97, 99, 104-108
- 情理 119, 120
- 書式 186-188, 191, 193, 202
- 書式集 183, 185-187, 201, 202
- 書面 184-187
- 自力救済 78, 79
- 素人向け手引 183, 185, 187, 188, 193-195, 198
- 人格的支配 62
- 審級制 97, 108
- 神聖ローマ帝国 89
- す行
- 水審 15, 91-93, 96, 98, 104, 109
- せ行
- 請願 91, 96, 97, 100, 101, 102, 105, 111
- 政治的弁護 208, 209, 225
- 制度説 259, 260
- 制度的要因 285
- 制度要因説 12, 17, 231, 232, 237, 240, 244, 259-263, 266-268, 274, 283, 287
- 世俗化 80
- 雪冤 93, 98
- 切断による裁判 212-214, 218, 225
- 折衷説 12, 17, 231, 232, 237, 239, 244, 252, 255, 263, 266, 268, 272, 287
- 先判之譲 50
- 占有付与 35, 45
- そ行
- 訴状 185, 186
- 訴訟社会 241
- 訴訟戦術 185, 187, 188
- 訴訟引き延ばし 32, 36, 37, 39
- 訴訟費用 30-32, 34, 36, 39, 44
- た行
- 代言人 127, 128
- 第三次日韓協約 114, 117, 126, 133
- 第二次日韓協約 113, 116, 121
- ち行
- 治安判事 17, 148, 149, 278, 279, 281, 284, 289
- 地域裁判所 144
- 仲裁 23-26, 28, 29, 32-36, 38, 39, 41, 43-45
- 仲裁人 28, 29, 32, 34, 37, 38
- 調停委員 144-146, 151-155, 158
- 調停前置 16
- 調停前置主義 282, 284
- 調停申立率 281
- て行
- 帝国 97, 100, 108
- 帝国最高法院 97, 107, 108, 111
- 帝国自治体法 144
- 低訴訟率 251, 252, 254, 269
- 低民事訴訟率 267, 283
- ディンゲス 10, 89, 290
- 手続 189-192, 194, 195, 203
- 手続の手引 183, 185-187
- 田訟 118, 129, 131
- と行
- 同意は法に、和解は判決に勝る 23
- 統監府 113, 116, 121, 125
- 統合・循環論 255, 259
- 当事者 184, 186, 187, 203
- 督促 279
- 特別調停 18
- な行
- 仲間仲裁裁判所 149
- 泣き寝入り 9, 243
- に行
- 日常史 10
- 日本人の法意識 254
- は行
- パーソンズ 234, 235, 266, 272
- 賠償金 94, 95, 102, 107
- パトロン権 28, 33, 42, 44, 45
- 馬場健一 239, 268
- ハビトゥス 275
- パフォーマティブ・ターン 287
- 破門 31, 33, 35-37
- 原正鼎 121
- 判例 184, 185, 190, 196, 202
- ひ行
- 比較法学 12, 17, 284
- 平理院 115, 116, 127, 128, 131, 132
- 非理好訟 118, 136
- ふ行
- フーコー 16, 207, 208, 214, 215, 217-222, 224-226
- フェーデ 83
- フェミニズム 274
- フォーラムショッピング 18
- 複合要因説 240
- 侮辱 280, 282
- 不法行為 280
- フランクフルト 25-27, 29, 30, 33, 36, 42
- ブルデュー 275
- プロイセン 279, 282, 286, 289
- 文化人類学 10, 14, 270-273
- 文化説 261
- 文化本質主義 265, 268-274, 286
- 文化要因説 12, 17, 231, 232, 237, 240, 244, 259, 261, 263, 266-268, 274, 283, 287
- 紛争社会 284
- へ行
- 平理院 121-124, 126, 127
- ヘイリー 231, 245, 287
- 弁護士 184, 185, 187, 188, 194, 202, 203
- 弁護人 94, 96, 107, 108
- ほ行
- 法意識論 243
- 法意識 251, 257, 258
- 法観念 252
- 法社会学 13, 265, 268
- 法使用 251
- 法使用行動 11, 277, 288
- 法使用行動調査 12
- 法人類学 270
- 法のブティック 208, 215-218
- 法発見 78
- 法文化 252, 287
- 法務参与官 116
- 法務補佐官 117, 121, 124
- 法利用 108
- 法利用行動 17, 18
- 法利用行動調査 274
- 暴力 83, 100-102, 109
- ポストモダニズム 270
- ポストモダン 260
- 本質主義 17, 233, 239, 244, 267, 270-274, 286
- 本人訴訟 188, 194, 203
- ま行
- マイヤー 142, 143
- マインツ 30, 33, 36, 37
- 魔女裁判 15, 89, 90, 98, 99, 101, 108
- 松寺竹雄 121-124, 126, 136
- み行
- ミクロ史 10, 290
- 未処分 14, 48, 60, 62, 64, 65, 67
- 民事事件 141, 153, 163, 164
- 民刑訴訟規程 119, 121, 126, 128, 133
- 民事訴訟法(民訴法) 143, 183-192, 202-204, 281
- 民事訴訟率 231
- 民事調停 155
- 民衆裁判所 149
- 民俗好訟 118
- む行
- 村上淳一 13
- め行
- 名誉棄損 15, 16, 90-92, 94, 95, 97-101, 103-105, 108, 109, 141, 148, 278
- 名誉棄損事件 149-151, 153, 159-162
- 命令不服従 14, 26, 35-39, 45
- よ行
- 予防法学 187, 188
- り行
- 理 15, 119-121, 124, 125, 132, 133
- 理解社会学 236
- リテラシー 78, 84
- 利用しやすい司法 11
- 領主裁判権 281
- 臨時司法制度調査会 11
- ろ行
- 労使間紛争 280
- 労働裁判所 283
- ローマ法 28, 29, 34, 35, 78-80
- わ行
- 和解 23-26, 28-35, 39, 41, 43, 44, 78, 83, 99, 107, 108
- 和解交渉 148, 151, 152
- 和解成立率 16, 279, 282, 284, 285