北東アジア学創成シリーズ 4 ロシア社会の体制転換: 階層構造の変化に着目して

林裕明
書影『ロシア社会の体制転換:』

30年を経過しようとしているソビエト社会主義共和国連邦からロシア連邦への体制転換過程を、社会階層構造の変化を通して社会の体制転換という視点から政治経済学的に分析する。(2021.3.31)

定価 (本体4,200円 + 税)

ISBN978-4-87791-312-0 C3031 227頁

目次

  • 序章 ロシア社会の体制転換の分析視角
    • 1 本書の課題と問題意識
    • 2 先行研究の整理
    • 3 分析視角と分析枠組み
    • 4 本書の構成
  • 第1章 ソ連・ロシアにおける体制転換と社会階層の再編
    • はじめに
    • 1 ソ連時代の階層分化
      • (1) ソ連における社会階層
      • (2) ソ連社会の発展と階層分化
    • 2 体制転換と生活水準、階層分化
      • (1) 生活水準、貧困の動態
      • (2) 社会階層の推移
    • 3 経済成長による社会階層の動態と中間層
      • (1) 中間層の概要
      • (2) ロシアの中間層の規模、構成
      • (3) 価値観・行動様式から見たロシアの中間層
    • おわりに
  • 第2章 体制転換と生活様式・ライフスタイルの変化
    • はじめに
    • 1 ソ連時代の生活様式
      • (1) 所得と生活水準
      • (2) 個人消費の推移
      • (3) 共同消費の推移
      • (4) 家計の収入・支出構成
      • (5) 消費財の供給経路
      • (6) 経済格差と生活面における満足度
      • (7) 消費者の行動様式
    • 2 体制転換と生活様式の変化
      • (1) 生活水準の変化
      • (2) 家計収支面から見たロシアの生活変化
      • (3) 非公式領域が果たす役割
    • 3 日本との比較に見るロシアの生活様式がもつ意味
    • おわりに
  • 第3章 体制転換と社会意識の変化 ――国家への依存に着目して
    • はじめに
    • 1 体制転換と社会意識の変化 ――「ソビエト人間プログラム」調査にもとづいて
      • (1) 「ソ連の普通の人々」(1989年の調査)
        • 1) 国家と個人との関係
        • 2) 安定性かリスクか
        • 3) アイデンティティの所在
      • (2) 体制転換後の社会意識(1994、1999、2003年の調査結果)
        • 1) 国家と個人との関係
        • 2) 安定性かリスクか
        • 3) アイデンティティの所在
        • 4) 過去へのノスタルジア
    • 2 経済成長と社会意識の変化
    • 3 ソ連・ロシアにおける社会契約と国家-社会関係
      • (1) 社会契約と国家に対する人々の依存
      • (2) 資源開発からの税収・レント
    • 4 プーチン政権下での社会契約と社会階層
    • おわりに
  • 第4章 勤労意欲と労働モチベーション
    • はじめに
    • 1 ソ連における労働のあり方と仕事への満足度
    • 2 体制転換と雇用形態、労働のあり方の変化
      • (1) 体制転換と雇用形態の変化
      • (2) ロシアの労働実態
    • 3 ロシアの労働者のモチベーションの対象
    • 4 体制転換に伴う労働モチベーションの変化と労働の多様性
      • (1) 労働時間に見る多様性
      • (2) 欧米各国における働き方の背景と課題
      • (3) 日本における労働の特異性とその背景
      • (4) ロシアにおける働き方の独自性
    • おわりに
  • 終章 ロシア社会の今後の展望
    • はじめに
    • 1 体制転換後のロシア社会の特徴
    • 2 ロシアの経済システムと国家・市場・社会の質
    • 3 新型コロナウィルス感染拡大とロシア社会
    • おわりに
  • あとがき
  • 参考文献
  • 索引
  • 著者略歴

著者紹介

林裕明(はやし・ひろあき)

1972年兵庫県生まれ。立命館大学経済学部教授。比較経済システム論、ソ連・ロシア経済論専攻。

京都大学大学院経済学研究科博士後期課程研究指導認定退学、博士(経済学、京都大学)。2001年島根県立大学総合政策学部専任講師、2002年島根県立大学北東アジア地域研究センター研究員を兼担、2004年島根県立大学総合政策学部・同大学院北東アジア研究科助教授(2007年~准教授)、2005年英国・バーミンガム大学ロシア・東欧研究センター客員研究員、2007年京都大学経済研究所客員准教授を経て、2016年より現職。

主な著訳書に『現代ロシアを知るための60章』(共著、明石書店、2012年)、『現代ロシア経済論』(共著、ミネルヴァ書房、2011年)、『国家社会主義の興亡』(共著訳、明石書店、2007年)、『躍動する中国と回復するロシア』(共著、高菅出版、2005年)がある。

索引

  • あ行
    • 一党独裁 12
    • インセンティブ 119, 144, 145
    • インテリゲンチア 30, 35, 43
    • インテリゲンツィア 19
    • インフォーマル 42
    • エリート 30, 31, 35, 79, 80, 102, 186
    • エリート層 19, 30, 44, 46, 48, 50, 126, 127
    • エリツィン 112, 113
    • オルス 72, 73, 78
  • か行
    • 階級 16, 17, 18, 19, 21
    • 階級構造 18
    • 階層 11, 14, 16, 17, 18, 19, 21, 30, 31, 32, 33, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 43, 44, 45, 47, 48, 49, 57, 63, 83, 95, 101, 125, 126, 127, 130, 131, 140, 167, 179, 184, 186
    • 階層分化 15, 22
    • 階層分析 13
    • 隠れた所得 87
    • 価値観 13, 16, 19, 22, 24, 54, 55, 56, 57, 58, 101, 104, 108, 115, 116, 131, 139, 158, 166, 167, 169, 170, 179
    • 旧中間階級 19
    • 教育水準 19, 30, 35, 39, 43, 44, 45, 49, 55, 119, 120, 145
    • 教育の普及 33
    • 共産党 30, 39, 76, 106, 119, 121, 145
    • 共産党員 141, 142
    • 金融危機 120
    • 勤労意欲 19, 23, 135, 138, 159, 179
    • 経済危機 182
    • 経済システム 15, 16, 95, 101, 120, 138, 168, 170
    • 経路依存性 13, 170
    • 権威主義 12
    • 現物 86, 87, 95
    • 現物化 86, 87, 94
    • 合理的経済人 14
    • 国家パターナリズム 108
    • ゴルバチョフ 112, 113
    • コルホーズ 35
    • コルホーズ農民 19, 70
  • さ行
    • 再分配 127, 131
    • 失業 14, 15, 23, 42, 50, 82, 114, 148, 150, 155, 156, 163, 171, 181
    • ジニ係数 40, 80, 81, 82, 127
    • 資本家階級 19
    • 資本主義多様性論 11
    • 資本主義の多様性 95
    • 資本主義の多様性論 11
    • 社会階層 22, 29
    • 社会契約 23, 119, 120, 121, 125, 126, 131, 180
    • 社会主義的人間 13
    • 社会的消費フォンド 73, 77
    • 社会的消費フォンド 68
    • 集団農民 33, 35, 140
    • 初期条件 12
    • 新中間階級 19
    • 人的資本 41, 44, 169
    • スターリン 32, 68, 112, 113, 120
    • 生活様式 16, 19, 22, 47, 63, 64, 80, 90, 95, 179
    • 世界金融危機 20, 94
    • 世界経済危機 40
    • 専門家 19, 31, 36, 38, 39, 43, 44, 52, 53, 57, 103
    • 専門家層 30
    • 全ロシア世論調査センター(OM) 44, 101
    • ソビエトの人間 102, 108, 109, 113, 116, 180
    • 「ソフト」な予算制約 16, 23, 140, 181
  • た行
    • 多様な経済システム 139
    • 多様な資本主義像 138
    • 知識人 140
    • 中間 43
    • 中間層 14, 19, 22, 29, 31, 44, 45, 46, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 126, 127, 129, 137, 180, 184, 185, 186
    • 賃率表 23, 64, 140, 148, 181
    • 伝統 92
    • 伝統的要素 90, 93, 94
    • 党員 141
  • な行
    • 肉体労働者 30, 33, 35, 74, 75, 120
    • 肉体労働者層 19, 39, 126, 127, 128
    • 年金生活 42, 121
    • 年金生活者 50, 126, 133
    • ノメンクラトゥーラ 19, 30, 37
  • は行
    • パターナリズム 103, 105, 115, 156
    • 非公式 87
    • 非公式経済 56, 169
    • 非公式経済活動 158
    • 非公式雇用 122, 155
    • 非公式所得 22, 159
    • 非公式セクター 88, 89
    • 非公式領域 87
    • 非肉体労働者 32, 33, 35, 39
    • 貧困 15, 18, 19, 40, 41, 42, 43, 46, 48, 53, 81, 82, 83, 86, 95, 114
    • 貧困層 19, 39, 50, 57, 81, 93, 126
    • 貧困率 80
    • プーチン 120, 121, 123, 125, 126, 127, 130, 186
    • 副業 22, 42, 72, 78, 87, 88, 89, 155, 158, 159, 169
    • 富裕層 19, 47, 53, 86, 107, 126, 127
    • フルシチョフ 32, 112, 113
    • ブレジネフ 32, 112, 113
    • ペレストロイカ 20, 43, 105
    • ホモ・エコノミクス 14
    • ホモ・ソビエティクス 22, 102, 103, 104, 105, 108, 109, 111, 115, 180
  • ま行
    • 民主化 20, 126
    • 民主主義 48, 50, 57, 110, 122, 184, 185
    • 民主主義社会 12
    • モチベーション 16, 19, 138, 158, 160, 168, 171
  • ら行
    • ライフスタイル 16, 22, 45, 49, 58, 63, 64, 90, 95, 139, 158, 166, 167, 170, 179, 180
    • レバダセンター 117, 125, 130
    • レント 122, 123, 128, 131, 182, 186
    • 労働意欲 14, 104
    • 労働インセンティブ 16, 68, 73, 75, 80
    • 労働者階級・階層 19, 37
    • 労働者のモチベーション 167
    • 労働モチベーション 23, 50, 58, 94, 135, 138, 139, 161, 163, 169, 170, 172, 179, 181