橋法学・国際関係学レクチャーシリーズ 2 法と社会 基礎法学の歩き方

一橋法学・国際関係学レクチャーシリーズ刊行委員 編
書影『法と社会』

本書は「法学入門」書ではなく、基礎法学の諸分野への渉猟を通して現代法の統一的な基盤を提供しようとする。基礎法学は法のさまざまな普遍的諸法則を解き明かすことを目的とし、法の明暗の光ともなるだろう。(2025.3.20)

定価 (本体2,800円 + 税)

ISBN978-4-87791-333-5 C3032 347頁

目次

    • プロローグ
      • ◆ 基礎法学の歩き方屋敷二郎
        • 基礎法学とは何か
        • 法学は科学たりうるか
        • 法学はいまでも科学なのか
        • 基礎法学をいつ学ぶべきか
        • 相対化の視点?
        • うんと肩の力を抜こう
        • 基礎法学の諸分野について
  • パート1 法学のアプローチとしての比較
    • 1 比較法学吉田聡宗
      • ◆ 法を比較するということ
        • 日本において法を比較する必要性
        • 比較がもたらす楽しさ
        • 比較の難しさ
        • 比較対象 ――リンゴとオレンジは比較できない?
        • 比較における価値判断
    • 2 比較法文化論吉田聡宗
      • ◆ 動物の法的な位置づけ
        • 用語の整理
        • ドイツ法における「動物」
        • フランス法における「動物」
        • 日本法における「動物」
        • 統計値から見る日本法とドイツ法
    • 3 英米法ジョン・ミドルトン
      • ◆ 名誉毀損・報道被害をめぐるコモンロー圏と日本法の比較
        • コモンローにおける名誉毀損訴訟の要件
        • 名誉毀損に関する単純な日本法の長所 ――名誉毀損訴訟の増加と報道被害者の勝訴率
        • 「ロス疑惑」事件と訴訟制度の柔軟性
        • 名誉毀損に関する複雑なコモンローの長所・短所 ――日本法との対比
        • 名誉毀損に関する単純な日本法の短所 ――日本における再公表の責任意識の問題性
        • イギリスの1996年名誉毀損法による公表責任
        • 裁判管轄権に関する問題
        • 日本法の救済方法の検討 ――救済方法と損害賠償の高額化
        • コモンロー上の救済方法の検討 ――救済方法とそれをめぐる論議
        • 損害賠償
        • 差止命令
        • 誤報・虚報と日本の訂正・取消放送
        • 報道被害と裁判外の救済方法 ――メディア・アカウンタビリティ制度
        • イギリスの独立プレス基準機構(IPSO)の設立と活動
        • IPSOの倫理綱領
        • IPSOへの苦情の申し立て方
        • IPSOの苦情処理手続
        • IPSOの救済方法
        • IPSOの構成員と財源
        • イギリスのオフコム(通信放送庁)
        • コモンロー的アプローチから見た日本の現状
    • 4 中国法但見亮
      • ◆ 人格権から考える
        • 「人格権(編)」の形成と概要
        • 検討 ――「人格」とは?
        • 「総則」の諸原則と「人」
        • 「物権」の構造と「人」
        • 「合同」の姿と「人」
        • 小括 ――「人」への問い
        • 「憲法」と「人」
        • 「党」と「人」
        • 「人格権(編)」のインパクト
  • パート2 法学のアプローチとしての史学・哲学
    • 1 日本法史(前近代)松園潤一朗
      • ◆ 日本近世における法観念
        • 近世法の特徴
        • 法の内容
        • 慣習の諸形式と法
        • 政治思想と法
        • 法観念の近代的転換
    • 2 日本法史(近代)松園潤一朗
      • ◆ 民事訴訟法の成立と展開
        • 西洋における民事訴訟法
        • 法典成立以前 ――民事訴訟の形成
        • テヒョー草案の作成
        • 民事訴訟法(明治民事訴訟法)の制定
        • 大正改正法の成立
        • 戦後の法改正へ
    • 3 西洋法史(ローマ)渡辺理仁
      • ◆ 現代法の統一的基盤
        • 王政時代(紀元前8-6世紀)
        • 共和政時代(紀元前6-1世紀)と十二表法
        • 政務官による法創造(名誉法)
        • 元首政時代(紀元前1-紀元3世紀)
        • 専制君主制と「市民法大全」の編纂(3-6世紀)
        • ローマ法の特徴 ――法学者の支配
        • ローマの法思想 ――平等、法と道徳の分離、個人主義
        • ローマ法の体系 ――人・物・訴権
    • 4 西洋法史(ビザンツ)渡辺理仁
      • ◆ もうひとつのローマ法
        • ユスティニアヌス以降(6-8世紀)の国家法と教会法
        • マケドニア朝期(9-10世紀)の国家法と教会法
        • マケドニア朝期以降(11-12世紀)の国家法と教会法
        • ビザンツ法の特徴 ――「市民法大全」の影響力、手引の重視
        • ビザンツ法の影響
    • 5 西洋法史(ゲルマン)勝又崇
      • ◆ 「ゲルマン法」を考える
        • 現代ドイツの判例に見る「ゲルマン法」
        • 裁判官の承認なき後見人による自由剥奪の合憲性
        • 遺留分の合憲性
        • 刑罰による近親相姦の禁止の合憲性
        • 国内法人の登記
        • 妨害排除への賃借人の忍容義務
        • 「ゲルマン人」の登場
        • 古代から中世へ
        • 法継受からドイツ私法まで
        • 歴史法学派のゲルマニステンによる「ゲルマン法」の構築
        • ナチスと戦後の「ゲルマン法」概念への批判
        • 「ゲルマン法」概念は今でも有用か
    • 6 法哲学安馨
      • ◆ 法概念論の一歩手前まで
        • 「開かれた問い」論証
        • 道徳的判断のテトラレンマ
        • 法的判断のテトラレンマ?
        • テトラレンマの解決とハートの法理論
        • ドゥウォーキンの法実証主義批判:理論的不同意問題
        • 規範性の問題:理性的行為者性と理由
        • ヒューム主義的な理性の理解
        • 法の規範性
  • パート3 法と社会と言語
    • 1 英語を学ぶ早坂静
      • ◆ 民主主義を支える教養として
        • キング牧師の手紙から英文の構成の基本を学ぶ
        • 人文学的教養のために読む
    • 2 英語について考える前田眞理子
      • ◆ 覇権言語への道
        • 世界史の中の英語
        • 英語圏の拡大:イギリスの役割
        • 英語圏の拡大:アメリカの役割
        • 英語の現在と未来
    • 3 中国語を学ぶ、中国語について考える吉田真悟
      • ◆ 日本(語)を見つめ直す方法として
        • 「中国語」とは何か
        • 中国語と日本語の距離
        • 中国語と台湾語の間で
        • 多様性に気づく ――外国語を学ぶ意義
    • 4 フランス語を学ぶ、フランス語について考える小関武史
      • ◆ 法とは正しさであると考える言語
        • 英語とフランス語の近さと遠さ
        • 正しさとしての法
        • さまざまな法、さまざまな正しさ
        • 正当性と合法性
        • 文法と法律
        • 訳読の効能
        • 国際言語としてのフランス語
        • 「おフランス」という言い方
    • 5 ドイツ語を学ぶ、ドイツ語について考える尾方一郎・小岩信治・八幡さくら・武村知子
      • ◆ 「ドイツ語は裏切らない」
        • ドイツ語の学びかた、教えかたをめぐって
        • 外国語学習は翻訳コンニャクにとってかわられるのか
        • ドイツ語のおもしろさ ――「ドイツ語は裏切らない」
        • 法学とドイツ語
    • エピローグ
      • ◆ 基礎法学への旅の扉屋敷二郎
    • 執筆者紹介
    • 索引

著者紹介

執筆者紹介(五十音順)

安藤 馨(あんどう・かおる) 法学研究科教授
専門分野:法哲学。主要業績:『教養としての法学・国際関係学──学問への旅のはじまり』(国際書院、2024年、共著)、『法哲学と法哲学の対話』(有斐閣、2017年、共著)ほか
尾方 一郎(おがた・いちろう) 言語社会研究科教授
専門分野:電子文献学、ドイツ文学。公益財団法人ドイツ語学文学振興会理事。主要業績:『文庫で読む100年の文学』(中央公論新社、2023年、共著)、『〈言語社会〉を想像する』(小鳥遊書房、2022年、共著)ほか
勝又 崇(かつまた・たかし) 一橋大学社会科学高等研究院(HIAS)特任講師
専門分野:西洋法制史。主要業績:Eine soziologische Wende und die Entstehung der Lehre vom guten alten Recht bei Fritz Kern, in: Zeitschrift für Neuere Rechtsgeschichte 46(3/4), 2025、「『ザクセン訴訟手続』の形成と差異文献──命令不服従を一例に」『法と文化の制度史』第1号(2022年)、177-216頁ほか
小岩 信治(こいわ・しんじ) 言語社会研究科教授
専門分野:音楽史。主要業績:『〈言語社会〉を想像する』(小鳥遊書房、2022年、共著)、『ピアノ協奏曲の誕生──19世紀ヴィルトゥオーソ音楽史』(春秋社、2012年)ほか
小関 武史(こせき・たけし) 言語社会研究科教授
専門分野:18世紀フランス文学・思想史。主要業績:『啓蒙思想の百科事典』(丸善出版、2023年、共著)、『百科全書の時空──典拠・生成・転位』(法政大学出版局、2018年、共編著)ほか
武村 知子(たけむら・ともこ) 言語社会研究科長・教授
専門分野:ドイツ文学。主要業績:『日蝕狩り──ブリクサ・バーゲルト飛廻双六』(青土社、2004年)、『文化アイデンティティの行方』(彩流社、2004年、共著)ほか
但見 亮(たじみ・まこと) 法学研究科教授
専門分野:中国法。主要業績:『教養としての法学・国際関係学──学問への旅のはじまり』(国際書院、2024年、共著)、『中国夢の放置──その来し方行く末』(成文堂、2019年)ほか。
早坂 静(はやさか・しずか) 法学研究科准教授
専門分野:アメリカ文学。主要業績:『ジェンダーと身体──解放への道のり』(小鳥遊書房、2020年、共著)、『個人的なことと政治的なこと──ジェンダーとアイデンティティの力学』(彩流社、2017年、共著)ほか
前田 眞理子(まえだ・まりこ) 法学研究科准教授
専門分野:ジェンダー論。主要業績:『エリノア・ランシング・ダレスー─アメリカの世紀を生きた女性外交官』(有斐閣、2004年)、アンソニー・エリオット『ジョン・レノンー─魂の軌跡』(青土社、2000年、翻訳)ほか
松園 潤一朗(まつぞの・じゅんいちろう) 法学研究科教授
専門分野:日本法制史。法文化学会理事、法制史学会理事。主要業績:『法の手引書/マニュアルの法文化』(国際書院、2022年、編著)ほか
ミドルトン、ジョン(John Middleton) 法学研究科教授
専門分野:英米法、比較メディア法。オーストラリア弁護士、ニューヨーク州弁護士。比較法学会理事。主要業績:『報道被害者の法的・倫理的救済論──誤報・虚報へのイギリス・オーストラリアの対応を中心として』(有斐閣、2010年)ほか
屋敷 二郎(やしき・じろう) 一橋大学副学長、法学研究科教授
専門分野:西洋法制史。法文化学会理事、法制史学会理事。主要業績:ポール・ミッチェル著/湊麻里訳『法の歴史大図鑑』(河出書房新社、2024年、日本語版監修)、『教養としての法学・国際関係学──学問への旅のはじまり』(国際書院、2024年、編著)ほか
八幡 さくら(やはた・さくら) 言語社会研究科講師
専門分野:哲学。日本シェリング協会理事。主要業績:『マンガ/漫画/MANGA──人文学の視点から』(神戸大学出版会、2020年、共著)、『シェリング芸術哲学における構想力』(晃洋書房、2017年)ほか
吉田 聡宗(よしだ・あきむね) 一橋大学社会科学高等研究院(HIAS)特任講師
専門分野:比較法。公益社団法人日本愛玩動物協会愛玩動物飼養管理士認定委員。主要業績:「実験動物学と法学の対話──人間と動物は『なにもの』か」『Labio21』92号(2024年)、13-19頁、Anti-Animal Cruelty Laws in the New York of the 1860s, Hitotsubashi Journal of Law and Politics, 51 (2023), 45-62ほか
吉田 真悟(よしだ・しんご) 言語社会研究科講師
専門分野:社会言語学、台湾語。主要業績:『漢字文化事典』(丸善出版、2023年、共著)、『台湾語と文字の社会言語学──記述的ダイグラフィア研究の試み』(三元社、2023年)ほか
渡辺 理仁(わたなべ・りひと) 法学研究科特任講師
専門分野:西洋法制史。主要業績:『法の手引書/マニュアルの法文化』(国際書院、2022年、共著)ほか

まえがき

◆ 基礎法学の歩き方

本書のメインタイトルである「法と社会」は、一橋大学法学部において新入生の履修が推奨されている科目の名称である。この科目では、他の大学において「法学入門」といった名称で開講されている科目と同じく、法学部に入学した1年生に法学の基礎を学んでもらうことになっている。ただ、おそらく多くの大学と異なるのは、一橋大学法学部では憲法や民法など現代日本の実定法の全体像を把握してもらうための「実定法と社会」という科目が別に開講されている関係で、「法と社会」には実質的に基礎法学の諸分野への導入という役割が期待されている点である。

ということで、手に取っていただく方の誤解を避けるため(何なら誤解したままご購入いただいて一向に差支えないが)本書には「基礎法学の歩き方」というサブタイトルを付けることにした。「入門」ではなく、あくまでも「歩き方」である。大学院に進学して基礎法学者を目指そう、という相当な変わり者でもないかぎり、基礎法学の道場に「入門」して立派な師の門下生となり、日々厳しい鍛錬に励み系統的に修行を積み重ねていく、そんな必要などまったくないからである。

基礎法学は自由でいい。せっかくどこにも国境線のないフィールドがあるのだから、心の赴くままに歩いていけばいい。いや、無理に歩くこともない。もしどこか気に入った場所を見つけられたら、その花が咲き誇りポカポカと陽の当たる草原で、あるいはジメジメと湿った暗い洞窟の方が好みならそこで、満足するまでのんびり過ごしてほしい。

もちろん、本書の執筆者であるプロの基礎法学研究者は(プロをめざしている大学院生も)別である。楽しむのは勝手だが給料分ちゃんと働け、である。しかし、学生に、まして一般の読者に、そんな義理はない。読者の皆さんには、もしかすると何かの間違いで本書をうっかり手に取ってしまっただけかもしれないが、たぶん生涯でもう二度と訪れることがない機会となるだろうから、ぜひ基礎法学の世界を楽しんでいっていただけたらと願う。

□ 基礎法学とは何か

さて、ここまで定義もせずに「基礎法学」というタームを使ってきたが、基礎法学とは何か、という定義は実のところ難しい。基礎法学に分類される学問分野を列挙することはそれほど難しくないが、では基礎法学とは何かと正面から問われると、答えに詰まるのである。

かつて法哲学者の長尾龍一は、

法解釈学以外の法学の諸分野の総称。法哲学・法社会学・法史学・比較法学・外国法研究など。「その他大勢」に立派そうな名前をつけたもので、学問としての統一性はない*1

と述べたが、開き直るにもほどがある。日本を代表する法哲学者の一人にして、軽妙かつシニカルな筆致で知られた人物だから許されたのであって、もし同じことを実定法学者が述べたなら、多くの基礎法学者が猛反発しただろう。

それはともかく、科学が基礎科学(Basic Sciences)と応用科学(Applied Sciences)に大別されることは、よく知られている。ならば、基礎法学は法学における基礎科学であり、民法学や刑法学などの実定法学(法解釈学)が法学における応用科学である、と考えてみてはどうだろうか。基礎科学とは、いますぐ世の役に立つわけではないが、この世界のさまざまな法則を解き明かすことを目的とし、数十年後あるいはそれより先に社会に成果が還元されるような、科学の領域である。基礎法学もまた、眼前の法律問題を解決する役に立つわけではないが、法のさまざまな普遍的諸法則を解き明かすことを目的とし、数十年後あるいはそれより先に判例や立法へと成果が還元されるような、法学の領域と位置づけられないだろうか。

しかし、そうなると今度は、そもそも法学は科学なのかが気になる。

□ 法学は科学たりうるか

法学は科学たりうるか。これはドイツで200年ほど前に熱心に論じられたテーマである。前近代ヨーロッパでは、そもそも科学がそんなに偉いと考えられていなかったので、法学は「法の叡智(Prudentia iuris=Jurisprudence)」などと誇らしげに称していた。しかし、19世紀が幕を開けると、科学でない学問は劣った学問、というイメージが持たれるようになった。そこで、ドイツの法学者サヴィニーは、科学の時代にふさわしい新しい法学の呼称として「法の科学(Rechtswissenschaft=Legal Science)」という造語を提案したのである。このサヴィニーに始まる19世紀ドイツ法学の潮流は西洋法継受を経て近代日本の法学のモデルとなったので、日本においても、法学は科学たりうるか、という議論が引き継がれた。

ちなみに第二次世界大戦後の日本では、科学的社会主義を標榜するマルクス主義の影響で、この「科学」がマルクス主義の意味を持つようになり、何を言っているのかよく分からない謎な論争へと発展していったのだが、現代の読者に今は亡きマルクス主義法学について一から説明するのも面倒くさいし、また誰もそんなもの読みたくないだろうから、ここではスルーさせていただく。

ということで話を19世紀ドイツに戻すと、サヴィニーが考えた「法の科学」とは、概ね次のようなものだった。前近代の法学は古代ローマの「市民法大全」に基づいており、それ自体は(皇帝だの諸侯だのが恣意的に制定した法律に依拠するよりも)良いが、その使い方が権威主義的、伝統主義的、かつ場当たり的だった。つまり、昔の高名な学者の唱えた説を絶対視したり、誰の説かはわからないが昔からなされてきた理解に安住したり、あるいは目の前にある事件の解決に役立ちそうな法文を脈絡なく抜き出したり、という非科学的な使い方が横行していた。これを改めて、「市民法大全」のうち、全盛期ローマの法学者たちが個別具体的な法律問題に対して示した法的解決をまとめた「学説彙纂」をいわば実験データ集と位置づけ、そこから一般的な準則を導き出し、その準則を三段論法によって論理的に適用すれば、法学は立法者や解釈者の恣意が入る余地のない科学になれる。全50巻という膨大な分量も、また制定から1300年を経て19世紀の政治力学とは無縁であることも、「学説彙纂」は「法の科学」のための客観的な実験データとしてふさわしく思われた。

サヴィニーの提唱した「法の科学」をもとにドイツでは「パンデクテン法学」が発展し、日本をはじめ多くの国において近代法学のモデルとなった。なお、「パンデクテン」とは「学説彙纂」のギリシア語名称をドイツ語化したもの(をカタカナ表記したもの)である。前近代法学のイメージが染みついたラテン語名称の「ディゲスタ」を避け、またラテン語での講義や論文執筆に固執した保守的な前近代法学と違って自国語(ドイツ語)を使用した点に、ここで注目すべきだろう。

さてこのようにみてくると、少なくともドイツ近代法学は、実験データから一般的準則を導き出し、その準則の演繹で個別事象を評価するというのだから、「科学」としての要件を満たしていたと言えそうである。なるほど、実験データがすべて古代のものばかりで、新たな実験を行えないという点では、普通の自然科学諸分野に劣るかもしれない。しかし、自然科学においても、ビッグバンや生物進化などを想起すれば分かるように、事の性質から人間の管理下での実験が行えず、観測データからの計算や推論だけで成り立っている分野もある。少なくとも、これらの分野と比較したときに、サヴィニーの「法の科学」を科学ではないと断ずる理由は、白衣を着ていないこと、理学部や工学部に属していないこと、予算が少ないこと等々しか思いつかない。

□ 法学はいまでも科学なのか

とはいえ、これはドイツ近代法学が科学だった、というだけのお話である。法学がかつて科学であったという証拠を挙げたとしても、それは法学が科学でありうることの証明にすぎず、法学がいまでも科学であることを示すわけではない。

19世紀が終わりに差しかかるにつれて、パンデクテン法学は現実社会を見ていないと厳しく批判され、法社会学や比較法学の台頭を促すことになった。法社会学は、現実社会における法律問題の生起と解決を実証的に探究する新しい「法の科学」を模索するなかで登場した。また比較法学は、前近代の自然法学が抽象的・哲学的考察に基づいて探求してきた普遍的法原理を、法の比較という新しい手法で発見しようとする試みから誕生した。これらは、いずれも同時代の観察データを活用した新たな法学分野の構築という意味では成功したが、現実の法律問題の解決、特にパンデクテン法学の独壇場だった民事法の領域において、これに代わる存在とはならなかった。

パンデクテン法学が力を失った後、日本でもドイツでも、制定法の解釈適用が実定法学の中心的な役割となった。しかし、君主が定めたものであれ、民主的に選ばれた議会で決定されたものであれ、制定法は科学の基礎となりうる実験データや観察データとはいえない。制定法の究極的な拠り所は、現実に生起する事象ではなく、主権者の命令だからである。これをどれだけ精密に、主観を排して解釈適用したところで、それは命題からの客観的推論、つまり数学的な何かではありえても、科学ではない。

しかし、時代はすでに21世紀である。科学でないから実定法学(法解釈学)の価値が低いなどと卑下することはない。前近代の法学者たちのように、自分たちは「法の叡智」の担い手だと胸を張っていれば良いのである。他方、基礎法学については、普遍的な法原理を探求する比較法学や法哲学、過去ないし現在のデータを実証的に分析する法史学や法社会学のように、いまも(少なくとも部分的には)科学であり続けていると言えるだろう。

□ 基礎法学をいつ学ぶべきか

基礎法学と実定法学(法解釈学)では、科学性という点でどうも違いがあるらしい、ということが見えてきたところで、基礎法学をいつ学ぶべきか、という問題を考えてみたい。

高校数学の問題集などを懐かしく、あるいは苦々しく、思い出してもらいたいのだが、そこでは単元ごとに問題が分類され、さらに各単元のなかで基礎・応用・発展とレベル分けがなされていたのではないだろうか。基礎法学の「基礎」が、その意味での「基礎」であったなら、これを最初に学ばないと「応用」法学・「発展」法学には進めない、ということになるだろう。しかし、すでに述べたように、基礎法学の「基礎」は、基礎科学の「基礎」に近い意味合いである。科学において、基礎科学を学ばなければ応用科学を学べないなどということがないのと同様に、法学においても、基礎法学を学ばなければ実定法学を学べないなどということはない。まして実定法学は科学ではないのだから、なおのことである。

むしろ実定法学、より正確には、法実務を突き詰めていった先に基礎法学がある、と考えた方が良いだろう。「社会あるところ法あり(Ubi societas, ibi ius)」という法格言があるが、これは、どんな社会にも紛争を予防し解決するためのルールがあり、またそのようなルールなしに社会は存立しえない、という意味である。とある空き地に「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」というルールが存在したことは、よく知られている。この法は、しばしば新たな紛争の種になるという意味で好ましくない(他の意味でも好ましくないだろうが、ここでは問題にしない)。それはともかく、何らかのルールにのっとった紛争解決を、法実務という。したがって、法実務は、それが人間の社会である限りどんな社会にも存在し、その社会を存立させるインフラなのである。

これに対して、人類の歴史を振り返ると、法学のない社会などいくらでもある。というよりも、政治権力から独立した法学者たちが対等に議論を交わし合い、そのようにして形成された学説が立法や裁判にも影響を及ぼす、という意味での「法学」は、元首政時代の古代ローマと、12世紀以降の西ヨーロッパを例外として、19世紀に至るまでどの社会にも存在しなかった。法実務のない社会は存立しえないが、法学のない社会は人類史的にみるとむしろ普通なのである。

とはいえ、先の空き地のルールが、不十分な紛争予防・解決能力しか持たない以前に、内容的に不公平で不適切だ、と感じる読者も多いだろう。法実務は第一義的には紛争を予防し解決するために行われるが、解決するにしても、社会の構成員が正義ないし政治の観点から望ましいと考える形で解決することが理想的である。望ましい解決は新たな紛争の発生を抑止し、社会の安定に貢献するからである。こうして古代中国や古代ギリシアでは哲学的に「法のあるべき姿」が模索された。この模索は法哲学の源流となったので、基礎法学の源流もここにあると考えてよい。

これに対して、実定法学の源流は古代ローマにある。哲学的に考察された「法のあるべき姿」は、現実社会に移されるために政治権力の協力をどうしても必要とする。古代ローマ人が「法の天才」と称されるのは、優れた法律を作ったからではなく、政治権力に依存しない、法学によって発展していく法、というユニークな法のあり方を創出したからである(実のところローマ人は立法の才能に特段恵まれていたわけではなく、たいした法律を作っていない)。このローマ法学の成果が19世紀から20世紀にかけてヨーロッパ大陸諸国やその影響を受けた国々で法典にまとめられ、以後の法実務はこの法典をもとに行われることとなり、これを支えるための実定法学が発達した。

このように考えると、実定法学を系統的に学ぶことを目的とする現代日本の法学部において、基礎法学を学ぶべきことを前提とした「いつ」という問いは不適切である。そもそも問われるべきは、いまなお基礎法学を学ぶべきか、なのである。

□ 相対化の視点?

基礎法学を学ぶ意義として、相対化の視点を挙げる基礎法学者は多い。現在の法体系が完璧だと考える人はいない。誰もが自分の「法のあるべき姿」を漠然とであれイメージしながら、メディアやSNSなどで接した法律や判決の妥当性を判断している。このような判断をもう少し学問的に、直観や偏見に振り回されないかたちで行おうとする際、現在の法体系を相対化する視点を身につけているか否かで大きな違いがでてくる。そして、この相対化の視点を身につけるうえで、基礎法学は役に立つ、というのである。

しかし、それだけのことで、基礎法学を学ぶべきだ、と主張するのは言い過ぎではないだろうか。そもそも相対化の視点が大事だと言われれば、それだけで通じる人には通じる。というか、言われる前から分かっている。なのに、人生の貴重な時間の一部を費やして基礎法学を学べというのは傲慢だと思う。逆に、現状を相対化できない人ほど、いくら言ったところで理解してもらえない。そんな人に基礎法学の講義を1コマや2コマ受講させたところで、何も変わりはしないだろう。

つまり、基礎法学はわざわざ学ばなくても構わない学問なのである。もし基礎法学者が教室で相対比の視点云々と力説していたら、「そんなわけあるかい」と冷ややかな眼を向けてやろう。

□ うんと肩の力を抜こう

あなたが基礎法学を学ばなくても、誰も死なない。学ぶにしても、体系的・網羅的に学ばなかったとて、何のデメリットもない。むしろ、真面目に憲法や会社法を勉強する際の気分転換もかねて、しかし(多くの)動画配信よりは法学の理解を(おそらく)より深めてくれるものとして、楽しみながら、楽しめる範囲で、楽しめる部分だけ、学んでほしい。どのみち、嫌々学ばされたことなど、期末試験が済んだら秒で忘れるのだから。

もちろん、九九や学習漢字のように、嫌々学んだのに年をとっても覚えていることは、確かに存在する。ただそれらは、その人のその後の人生において繰り返し使用され、役に立ってきたから忘れないでいられるのである。これに対して、基礎法学で学んだことを人生において繰り返し使用し、役立てることができるのは、基礎法学者になった者だけである。だから、人生の無駄遣いをやめて、楽しめる部分だけをつまみ食いする。これがほとんどの学生や一般の読者にとって、基礎法学との正しい接し方だと思う。

YouTubeを観るとき、AIにリコメンドされたり、SNSで話題になるなりして興味をひかれた動画をタップし、面白ければ最後まで見るが、そうでなければ途中でやめて別の動画を探すのが普通ではないだろうか。またお気に入りのアーティストや配信者がいるなら、通知をオンにして新しい動画を見逃さないようにしているはずだ。基礎法学の講義もこれと同じで感覚で良い。シラバスの内容や先輩からのリコメンドで選び、面白ければ続けて出席すればいいが、つまらなければさっさと別の講義を探すといい。そんなことはまず間違いなくないだろうが、もし万が一にも気に入った教員を見つけることがあったならば、その教員が担当する他の講義を履修したり、その教員のゼミナールに参加したりすることを考えるのも良いだろう。

一橋大学の「法と社会」のように、基礎法学者がオムニバス方式で担当する法学の入門講義がもしあなたの大学でも提供されているなら、チャンスである。オムニバスなら、学問の内容が面白くなかったり、講義の形式が合わなかったり、あるいは顔とか話し方とか身振りとかがキモくても、2、3回の我慢で別の教員にチェンジしてもらえるのだから。

□ 基礎法学の諸分野について

最後に、基礎法学の諸分野について概観しておくことにしよう。基礎法学を分類すると、比較法学と、学際的法学の諸分野に大別される。

比較法学は、法の比較によって自国法の理解を深め、自国法を改善するヒントを模索する分野である。分野の特性から国際共同研究にも向いており、他国の法学者と法を比較し合うことを通じて、法制度の共通する部分・相違する要素を明確にし、法の相違を出発点とする誤解や紛争をあらかじめ回避し、また共通する要素を発見する努力を続けることで相互の理解を深めることに貢献している。グローバル社会で求められる素養、とまでいうと言い過ぎであろうが。

これに対して比較法文化論は、比較法学から派生的に生まれた下位領域であり、その専門家は多くない。しかし、法の比較は単なる条文の比較にとどまるものではない。その条文が当該社会において実際にどのように機能しているのか、そのように機能できる条件は何かを明らかにして、はじめて法の比較は意味をなす。比較法文化論は、法を機能させる諸条件のうち、特に社会的・文化的背景に着目して、法を比較する学問である。素材として動物やアンパンなど本人の趣味としか思えない身近な例を取り上げる研究者が多いので、ガチガチの比較法学よりも入りやすいかもしれない。

同じく比較法学の下位領域と位置づけうるのが、外国法学である。といっても、外国法学という固有の学問分野が存在するわけではなく、英米法、中国法、ドイツ法、フランス法、等々の総称である。なかにはベトナム法やフィリピン法など、レア度の高い国を専門とする研究者もいる。これらの分野では、アメリカと日本の報道規制の比較、中国と日本の環境法制の比較、ドイツと日本の地方自治法制の比較、フランスと日本の家族法制の比較といった風に、比較法学として研究が行われることが多い。比較法学の下位分野と位置づけうるというのは、そういう意味である。

とはいえ、英米法にしても、中国法にしても、アメリカや中国に生きる人たちにとっては、それが現行法制の全体を意味する。ならば、こちらも本気で正面から向き合い、その法体系の全体を、いっそその国の弁護士になるくらいの心づもりで学ぶほかない。外国法学を専門とする研究者の多くが、個々のパーツではなく、自分が専門とする国の法体系全体を視野に入れているのは、そのためである。

ところで、比較法学は、学問分野としては比較的新しい。新しいといっても100年以上は経っているので、学生からすると十分に古いのだが。しかし、学際的法学である基礎法学の諸分野で、同じくらいの時期に生まれたのは法社会学だけである*2

これに対して、現代的な意味での法史学が誕生したのは、その倍、およそ200年前のことである。ちなみに、法史学者にとって都合の良い歴史的事実を見つけることなどお手のものなので、すでに17世紀にはあった*3(つまり、さらに倍の400年前)、いやすでに古代ローマにその原型がみられる*4(つまり、そのさらに5倍の2000年近く前)といった言い分も耳にすることがあるかもしれない。そんなときはどうか欠伸をせず、真面目にノートを取るふりをしてあげてほしい。

フツーに古代から存在するのは、法哲学である。法史学者がどうあがこうと、法哲学は古代ローマよりも古い古代ギリシアに始まるからだ*5。また17世紀についても、たった一冊の著作の存在を必死でアピールする法史学に対して、当時の一大潮流となった自然法学の多くの著作において、法の概念や正義といった法哲学の内容が論じられていた*6。ただ、現代的な意味での法哲学が大学の講義科目として登場したのは、法史学と同じおよそ200年前のことであり、しかも当初は哲学部(日本でいう文学部に近い)に置かれて後から法学部に移されたので、大学法学部の講義科目としては、法史学の方が先である…と法史学の担当教員が必死で説明しているのをもし見かけたら、どうか生温かい眼で見てあげてほしい。

ともあれ、学際的法学の諸分野には、法哲学、法史学、法社会学、法と経済学、ジェンダーと法などがあるが、これらは分野名からすぐ分かるように、法学×哲学、法学×史学、法学×社会学、法学×経済学、法学×ジェンダー論といった複数の学問分野のカップリングによって成り立っている。そのため法を研究テーマとする哲学者や経済学者などと、学際的法学の諸分野の研究者は、一見すると区別がつかなかったりする。ただ、全く同じというわけではない。むしろ根本的なところで、両者は決定的に異なる。すなわち、法史学者や法社会学者は、歴史学者や社会学者とは違って、歴史的事実や社会的事実の解明それ自体を自己目的とするのではなく、あくまでも実定法学や法実務に貢献するために研究に従事しているにすぎないからである。

基礎法学の研究者たちは(それを目指す大学院生たちも)どちらがより古いかなどというこの上なくどうでもいいマウントにもついこだわってしまうほど、真摯に基礎法学の研究に従事してきた。それはこれからも決して変わることがないだろう(少なくとも給料が支払われている間は)。他のすべての学問分野と同じく、基礎法学の学問的成果もまた、無数の基礎法学者たちの多年の努力の積み重ねの上に成り立っているのである。

しかし、である。これまでにないテイストのポテチを出すために研究員たちが顔に吹き出物がでるほど試食を繰り返し、発売日に向けて営業が何足も靴を履きつぶし、広報が消費者に刺さるコピーを練りだそうと幾晩も徹夜したとして、そんなことはメーカー側の事情にすぎない。こちらは口寂しい時につまみながら好きな配信でも観ようと思って買ったわけで、そんな重い話を押し付けられても迷惑千万である。

基礎法学はいらない。でも面白い。基礎法学は多岐にわたるので、その全部を面白いという人は激レアかもしれない。しかし、多岐にわたるからこそ、きっとあなた好みのカウチやガゼボが、湿原や物置小屋の隅が、どこかにあるはずだ。いらないからこそ、きちんと学ばなければという余計なプレッシャーに煩わされることなく、顔を上げ、視野を広くして、軽やかに一歩を踏み出してみてほしい。

【屋敷 二郎】

*1: 佐藤幸二ほか編『コンサイス法律学用語辞典』(三省堂、2003年)、274頁。

*2: 学際的法学分野でも「法と経済学」や「ジェンダーと法」などは比較法学や法社会学よりもずっと新しいのだが、古さを競うときはなぜか存在しないことにされがちである。

*3: コンリングが『ゲルマン法の起源について』(1643年)で法の歴史を扱ったことを指す。

*4: 古代ローマの皇帝ユスティニアヌスによる「市民法大全」に収められた学説彙纂の法文(D. 1, 2, 2 Ponponius libro singulari enchiridii)で、紀元後2世紀の法学者ポンポニウスがローマ法の歴史を描写していることを指す。

*5: ソクラテスやプラトンは紀元前5世紀から紀元前4世紀にかけて活動した。

*6: グロティウス『戦争と平和の法』(1625年)、ホッブズ『リヴァイアサン』(1651年)、プーフェンドルフ『人と市民の義務』(1673年)、ロック『統治二論』(1689年)など。

索引

  • あ行
    • アイケ・フォン・レプゴウ(Eike von Repgow) 213
    • 愛国主義 119-120
    • 愛護動物 57-58, 60-61
    • アイヒホルン(Karl Friedrich Eichhorn) 218
    • 青木人志 41, 52, 322
    • アカデミー・フランセーズ 305, 321
    • 秋吉健次 69, 82
    • アルプレヒト(Wilhelm Eduard Albrecht) 218, 220
    • 石川武 220
    • 意思の弱さ(akrasia) 233
    • 一般教養教育 251
    • イニューエンド 73-75
    • 引用法 174
    • ヴェーバー(Max Weber) 42
    • AI 24, 317
    • 江木翼 159
    • 演繹 19, 176, 301-303, 314
    • オーストリア民事訴訟法 151, 159
    • 荻生徂徠 141-143
    • 御仕置例類集 136, 139
    • オフコム(通信放送庁) 92, 101-102, 104
    • 音節 287
  • か行
    • 外国語 37, 275, 279-280, 284, 286, 292-293, 300, 302-305, 312-313, 315, 317, 319, 324, 331-333
    • 外国法 16, 25-26, 33-37, 40-41, 131, 207
    • 解答権 173, 177
    • 海保青陵 142
    • カエサル 173, 210, 295
    • 学際的法学 25-27, 122, 331
    • 学識法 214-217, 221-222
    • 学説彙纂 18, 175-176, 186, 214
    • 格変化 313, 320-321
    • カチュル(Braj Bihari Kachru) 274-275
    • カノン法 150, 183, 207, 212, 214
    • 「紙の上の法」 39
    • ガリア 210, 212, 295-296
    • 勧解 152-154, 159
    • 漢字文化圏 284
    • 慣習法 132-133, 137, 140-141, 144-145, 169, 174, 215, 321
    • 簡体字 284
    • 漢文 280, 284-285
    • 官話 282, 288
    • ギールケ(Otto Gierke) 219
    • 帰納 301-303, 313
    • 規範性 241, 243-245
    • 救済方法 67, 70, 82-84, 89-90, 98-99, 103
    • 『教会法集成』 188
    • ギリシア語 18, 186-187, 189, 193, 197-198, 200, 267, 320-321, 332
    • キング牧師(Martin Luther King Jr. ) 253-257, 259
    • 吟味筋 137
    • 公事方御定書 136, 138
    • クレッシェル(Karl Kroeschell) 220
    • 継受 17, 34, 131, 144-145, 150-154, 161-162, 199, 205-206, 214-216, 326
    • ゲヴェーレ 219-220
    • ゲーテ・インスティテュート 311
    • ケープラー(Gerhard Köbler) 220
    • ケルト 210, 264, 295-296
    • ゲルマニア 210, 215-216
    • ゲルマン 150, 203-212, 216, 219-222, 265, 282, 295-296, 319
    • 「健康で文化的な最低限の生活」 323, 325
    • 憲政 121
    • 憲法 37, 51-52, 55-56, 59-60, 75-76, 79, 81, 102, 117-121, 139, 149, 154, 161, 204-207, 259, 323, 325
    • 「合意は守られるべし」 181
    • 公職者 169, 171, 196, 236-239
    • 構成要件該当性 323
    • 合同(契約) 116
    • 口頭主義 150-151, 154-157, 161
    • 公表責任 77
    • 公平原則 114
    • 公民 110, 118-119, 121
    • 公民権運動 253, 257
    • 公民道徳 119-120
    • 国語 284, 288-290, 305
    • 告示 172-173
    • 国民国家 281-282
    • 語源 296-297, 325
    • 御成敗式目 133
    • 古典期 174-175
    • 誤報・虚報 71, 88-89
    • コミュニケーション 267, 269, 272, 279, 317-318
    • コモンロー 67-69, 71-75, 77-79, 82-84, 102
    • コンスタンティノープル 186, 191, 193
    • コンスタンティノープル総主教 188, 192, 196, 199
    • コンリング(Hermann Conring) 28, 216
  • さ行
    • 再公表 75-77, 102
    • 裁定 (adjudication) 92, 94, 97-99, 101-102
    • 裁判外紛争解決(ADR) 89, 152
    • 裁判管轄権 78
    • 裁判事務心得 145
    • サヴィニー(Friedrich Karl von Savigny) 17-19, 218-219
    • ザクセンシュピーゲル 213-214, 216, 218, 220, 222
    • 差止命令 82-84, 87, 99
    • ジェンダー 27, 124, 265, 297
    • 自然法 19, 27, 245
    • 自然法則 34, 142
    • ジッペ 205, 220
    • 司法解釈 110, 114, 116
    • 「市民法大全」(ユスティニアヌス法典) 18, 175, 186-187, 189-191, 193-198, 200, 214
    • 「社会あるところ法あり」 21
    • 『社会契約論』 300
    • 社会主義核心価値観 113-114, 117-118, 120
    • 社会信用 119
    • 社会的事実 27, 238-241, 245
    • 社会法 149, 158
    • 釈明権 159-161
    • 習近平 119-120
    • 十二表法 170, 182
    • 『14章ノモカノン』 188, 192, 195, 199
    • 証拠 59, 89, 97, 135, 138-139, 151-152, 156-157, 162
    • 植民地 268-271, 275, 288, 306-307
    • 書式文例集 138, 152
    • 職権主義 150, 156, 159, 161
    • 職権証拠調 159-161
    • 職権審理手続 174
    • 書面 96-98, 150-152, 154-157, 159-161, 174, 183, 284
    • 所有権 114-115, 181-183, 206, 208, 219-220
    • 人格権 109-113, 117, 120-122
    • 人権 34-35, 70, 76, 85, 121
    • 人工言語 322
    • 人民 118-119, 143, 145
    • スコラスティコイ 187
    • スコリア(注釈) 191, 193, 198
    • スランダー 72
    • 声調 287
    • 成文法 133, 170, 321
    • 世界観 53, 318
    • 世間 137, 144
    • ゼミナール 24, 33, 35, 122
    • 善意 76-78, 209
    • 1990年裁判所及びリーガル・サービス法 86
    • 1996年名誉毀損法 77
    • 相対化 23, 133, 135, 158, 290
    • 『総督の書』 191
    • 訴権(アクチオ) 69, 150-151, 173, 176, 179, 182-184
      • 所有物返還 ── 181-182
    • 祖先の慣習 172, 177-178
    • 訴答文例 152
    • ソフトパワー 271
    • 損害賠償 42, 69-70, 79, 82-86, 88, 99, 102, 111, 181
  • た行
    • 大正民事訴訟法(旧民事訴訟法) 159
    • 第二外国語 279, 286, 312, 317, 331-333
    • 台湾華語 290
    • 台湾語 288-291
    • ダウ・ジョーンズ社対グットニック事件 79-80
    • 正しさ 232, 297-299
    • 多文化性(マルチカルチュラル) 257, 317-318
    • 多様性 185, 257, 274, 276, 291-293
    • 注音符号 290
    • ツァジウス(Ulrich Zasius) 215
    • ツァハリエ(Karl Eduard Zachariae von Lingenthal) 200
    • 訂正・取消放送制度 88-89, 102
    • ディドロ(Denis Diderot) 305-306
    • 『ティプケイトス』 194, 198
    • 出入筋 135-137, 153
    • ディルヒャー(Gerhard Dilcher) 221
    • DAAD 313
    • テヒョー(Hermann Techow) 154-155
    • ドイツ私法 217-218
    • ドイツ帝国民事訴訟法 150, 154-155
    • ドイツ法 51-55, 56, 58-61, 154-155, 161, 217-219, 326
    • ドゥウォーキン(Ronald Dworkin) 227, 239-241
    • 動機付けの判断内在主義 230, 233-238
      • ──ヒューム主義 230, 234-235, 244-245
    • 当事者主義 150-151, 157, 159, 183
    • 動物 25, 49-61, 241-242, 296, 326
    • 党領導 118-120
    • 特示命令 171
    • 特別損害 72-73, 84
    • 独立プレス基準機構 (IPSO) 91-101, 103
    • 土地使用権 115
    • トマジウス(Christian Thomasius) 217
  • な行
    • 内済 153, 161
    • 長尾龍一 16
    • 泣き寝入り 71
    • 2013年名誉毀損法 81
    • 2010年SPEECH法 81
    • 認知主義 230-232, 235-237
    • 認定のルール 238
    • ヌスバウム(Martha Nussbaum) 251, 259
    • ネーション(nation) 282
    • 「ノモカノン」 188, 192, 195, 199
    • ノルマン・コンクェスト 265, 296
  • は行
    • ハート(H. L. A. Hart) 227, 238-240
    • 「バシリカ」 189-194, 196-198
    • 『抜粋集』 187, 190, 196, 198-199
    • バルサモン(Theodoros Balsamon) 195
    • 繁体字 284, 290
    • パンデクテン法学 18-20
    • 「パンのための学問」 35
    • 万民法 172-173, 176, 181
    • 判例法 73, 136-137
    • 比較可能性 38
    • 比較言語学 281-282, 286
    • 比較法学 16, 19-20, 25-26, 33, 41, 331-332
    • 比較法文化論 25, 35, 41, 49
    • ヒューム(David Hume) 234, 244
    • 標準語 282-283, 292
    • 「開かれた問い」論証 229, 240-241, 246
    • 非理法権天 134, 144
    • 拼音(ピンイン) 290
    • ブーフ(Johann von Buch) 214-215
    • 武家諸法度 134
    • 普通話 283, 288
    • 不法行為 67, 111, 181
    • プライバシー 69-71, 82, 94, 98, 101-102, 110-112
    • ブラウン (Wendy Brown) 251
    • フランス法 51, 55-56, 60-61, 152-155, 158, 161
    • フリードリヒ2世(Friedrich II) 305
    • 文化大革命 110-111, 120, 122
    • 文法 265, 267, 274, 286-287, 290, 297, 300, 302-303, 314, 320-321
    • 『ペイラ』 193, 197
    • 『ヘクサビブロス』 200
    • ベリュトス 186
    • ベルトラン(Claude-Jean Bertrand) 89-91
    • 「編集者のための倫理綱領」 93, 100
    • 弁論主義 150-151, 153, 157, 159-161
    • 法概念論 227-228, 238, 241, 245-246
    • 『法学入門』 190, 196, 198
    • 法観念 133, 145, 178
    • 方言 265, 267, 273, 280-283, 289, 292
    • 法源 136, 138, 145, 177, 185, 188-189, 192, 194-195, 199-200, 212, 215-217
    • 法史学 16, 20, 26-27, 220, 332
    • 法実証主義 238, 240-241, 245-246
    • 法社会学 16, 19-20, 26-27
    • 法廷地漁り 78, 81
    • 法的判断 235-238, 241
    • 法哲学 16, 20, 22, 26-27, 227
    • 法典調査会 158
    • 報道被害 67, 75, 89, 102-104
    • 法と経済学 27
    • 「法の叡智」 17, 20
    • 「法の改竄」 175
    • 『法の概念』 238
    • 「法の科学」 17-19
    • 「法の現実の作動」 39
    • 法務官 169, 171-172, 176-177, 182
    • 法律訴訟 168, 170, 182-183
    • 法理論 239-240, 245
    • 母語 37, 197, 288-291, 302, 304-305, 319
    • 本人訴訟 69-72, 102, 154
    • 翻訳 37, 76, 144, 186, 189-190, 198, 213, 285, 293, 305-306, 317-318, 324
  • ま行
    • マケドニア朝 187, 189, 191
    • マルクス主義 17-18
    • 「3つの同心円モデル」 275
    • 三浦和義 69-71, 82, 102
    • 民法典 52, 55-56, 59-60, 109-111, 113-117, 119-120, 122, 149, 157, 200, 206, 209, 219
    • ムーア(G. E. Moore) 228-230, 232, 240-241
    • 明治民事訴訟法(旧々民事訴訟法) 155-156
    • 名誉毀損的表現の意義 73
    • メタ規範理論 228, 238
    • メタ倫理学 227-228, 235, 241, 246
    • メディア・アカウンタビリティ制度 (MAS) 89-91
    • 目安糺 151-152
  • や行
    • ユスティニアヌス(Iustinianus I. ) 28, 175, 185-188
  • ら行
    • ライプニッツ(Gottfried Wilhelm Leibniz) 305
    • ライベル 72-73
    • ラテン語 18, 183, 186, 193, 197-198, 212-213, 265-267, 271, 295-297, 302, 305, 320, 332
    • 理(道理) 133-136, 138, 142, 144
    • リシュリュー(Richelieu) 305
    • 理性的行為者 242-243, 245
    • 理論的不同意 240-241
    • リンガ・フランカ 264, 274
    • リンゴとオレンジ 38
    • 『倫理学原理』 228
    • ルソー(Jean-Jacques Rousseau) 300
    • レヴェソン調査委員会 92
    • レオン6世(Leon VI ho Sophos) 189, 191
    • ローマ市民権 170-172, 176, 179-180
    • 「ロス疑惑」事件 69, 71
  • わ行
    • 枠構造 320